第2話 乱世の影
アスカの駆るヴァンツァー「シルフィード」は、流れるような動きで敵のヴァンツァーを翻弄し、次々と撃破していく。その圧倒的な力は、まるで舞を踊っているかのようだった。
「さすがは未来の技術…」
義宣は、感嘆の声を漏らした。ユウトも、その光景に目を奪われていた。しかし、敵の数もまた、尋常ではなかった。時空の歪みから現れたヴァンツァーは、次から次へと現れ、水戸の街を破壊していく。
「このままでは、街が…」
ユウトは、焦りの色を隠せなかった。その時、彼の目に、一人の男が飛び込んできた。それは、派手な陣羽織を身にまとった、小柄な男だった。
「おやおや、騒がしいですなぁ」
男は、飄々とした口調で言った。その姿は、まるで戦場に似つかわしくなかった。
「あなたは…」
義宣が尋ねると、男は、にやりと笑った。
「わたくしは、豊臣秀吉。天下を治める者です」
秀吉の登場に、ユウトは驚きを隠せなかった。まさか、戦国時代の英雄が、こんな形で現れるとは。
「豊臣殿、なぜここに…」
義宣が問うと、秀吉は、扇子で口元を隠しながら言った。
「時空の歪みとやらで、面白いことになっていると聞きましてな。ちょいと、見物に参った次第です」
その言葉とは裏腹に、秀吉の目は、鋭く戦場を見据えていた。彼は、ただの見物人ではなかった。
「豊臣殿、ここは危険です。どうか、お引き取りください」
義宣が忠告するも、秀吉は、それを聞き入れなかった。
「面白いものを見逃す手はありません。それに、わたくしにも、思うところがありましてな」
そう言うと、秀吉は、傍らに控えていた兵たちに指示を出した。すると、彼らは、手にした火縄銃を構え、敵のヴァンツァーに向けて発砲した。
「火縄銃…!」
ユウトは、驚愕した。戦国時代の兵器が、未来の兵器に立ち向かおうとしている。
火縄銃の威力は、ヴァンツァーの装甲には及ばなかった。しかし、その攻撃は、敵の注意を引きつけるには十分だった。その隙に、アスカのシルフィードが、敵のヴァンツァーを撃破していく。
「さすがは、豊臣殿…」
義宣は、感嘆の声を漏らした。秀吉の登場によって、戦況は、わずかに好転した。
しかし、敵の数は、依然として多かった。そして、その中には、ひときわ巨大なヴァンツァーが存在していた。それは、他のヴァンツァーとは異なり、禍々しいオーラを放っていた。
「あれは…」
ユウトは、その異様なヴァンツァーに、言いようのない不安を感じた。
その時、巨大なヴァンツァーが、動き出した。それは、圧倒的な力で、周囲のヴァンツァーを破壊しながら、こちらへと迫ってくる。
「来るぞ…!」
義宣は、刀を抜き、ユウトとアスカに指示を出した。
「あれは、ただのヴァンツァーではない。警戒しろ!」
ユウトたちは、それぞれの武器を構え、迫りくる脅威に立ち向かう。秀吉も、扇子を閉じ、鋭い眼光を放った。
「面白いことになってきましたなぁ…」
秀吉は、呟いた。その言葉には、期待と興奮が入り混じっていた。
水戸の街を舞台に、過去、現在、未来の英雄たちが集結し、時空の歪みに立ち向かう。戦いの行方は、まだ誰にもわからなかった。
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