「また、あの夢か…」

　ユウトは、見慣れた天井を見上げながら、深い溜息をついた。夢の中で、彼はいつも同じ光景を見ていた。燃え盛る水戸城、甲冑を身に着けた武士たち、そして、巨大な人型兵器。まるで、歴史の教科書とSF映画が混ざり合ったような光景だった。

「まさか、正夢なんてことは…」

　彼は、ベッドから起き上がり、窓の外を見やった。いつものように、平和な朝が広がっている。しかし、彼の胸には、拭い去れない不安が残っていた。

　その日、ユウトは、いつものように学校へと向かっていた。水戸駅前の通りは、朝の通勤ラッシュで賑わっていた。しかし、その時、彼の目に信じられない光景が飛び込んできた。

　空が、歪んでいた。まるで、水面に石を投げ込んだときのように、波紋が広がっていた。そして、その歪みの中から、巨大な影が現れた。

「あれは…」

　ユウトは、目を疑った。それは、夢の中やゲームで見た人型兵器、「ヴァンツァー」だった。しかし、夢と違って、それは現実のものとして、目の前に存在していた。

　ヴァンツァーは、街を破壊しながら、暴走していた。人々は、悲鳴を上げながら、逃げ惑っていた。ユウトも、その場から逃げようとした。しかし、その時、彼の足が止まった。

　彼は、一人の少女を見つけた。彼女は、ヴァンツァーの残骸の下敷きになっていた。

「助けなきゃ…」

　ユウトは、迷わず少女のもとへ駆け寄った。彼は、必死で残骸を持ち上げようとした。しかし、それは、彼の力ではどうすることもできないほど重かった。

　その時、彼の背後から、声が聞こえた。

「手を貸そう」

　振り返ると、そこには、甲冑を身に着けた武士が立っていた。

「あなたは…」

「佐竹義宣。この水戸の城主である」

　義宣は、ユウトと共に残骸を持ち上げ、少女を救出した。少女は、気を失っていたが、無事だった。

「ありがとう…」

　ユウトは、義宣に礼を言った。

「礼には及ばん。それよりも、今は、この街を救うことが先決だ」

　義宣は、空を見上げた。そこには、まだ、何機ものヴァンツァーが飛んでいた。

「あれらは、一体…」

「未来から来た兵器であろう。この街は、時空の歪みによって、過去、現在、未来が入り混じってしまったのだ」

　義宣の言葉に、ユウトは愕然とした。夢で見た光景は、現実のものだったのだ。

「俺に、何かできることは…」

「お主には、お主の力があるはずだ。共に戦おう」

　義宣は、ユウトに手を差し伸べた。ユウトは、その手を取り、共に戦うことを決意した。

　その時、彼らの頭上に、一機のヴァンツァーが降り立った。それは、他のヴァンツァーとは異なり、洗練されたデザインをしていた。そして、そのコックピットには、一人の女性が座っていた。

「アスカ…」

　義宣は、呟いた。

「義宣様…」

　アスカは、静かに言った。

「なぜ、あなたがここに…」

「時空の歪みを修復するために来た。あなたたちと共に戦う」

　アスカは、そう言うと、ヴァンツァーを起動させた。

　ユウト、義宣、アスカ。三人の戦いが、今、始まった。

　茨城紀行

　関東地方の北東部、北関東の東側に位置し、元の常陸国（ひたちのくに）全域と、明治期に千葉県から移管された下総国猿島郡・結城郡・豊田郡・岡田郡の全域および相馬郡・葛飾郡・香取郡の一部から成り立っている。県の東側は太平洋に面しており、旧東海道に属する都道府県の中では最北端に位置している。県の人口は2,803,119人（2025年2月1日）で、日本の総人口の約2.3%を占めており、静岡県に次いで全国11位である。面積は6,094km2（霞ヶ浦・北浦・牛久沼・涸沼などを含めない場合は5,874.20km2）で、国土の約1.6%を占める。県内の市町村数は44で、うち市は32、郡は7で、その下に10の町と2の村がある。2021年度における県内総生産（名目）は14兆5391億円。

　県内各地域の繋がりは薄く、県庁所在地の水戸市の人口は県人口の1割ほどしかない。これは都道府県の最大都市の中では最少の割合であり、そのため県内に求心力のあるプライメイトシティ（首位都市）は存在しない。県北部では日立製作所の企業城下町である日立市で工業化が進み、太平洋や八溝山地のある緑豊かな地域を形成する。県中央部は水戸市に県庁が置かれ、小美玉市に茨城空港が置かれており、ひたちなか市で工業化が進んでいる。県東部の鹿嶋市・神栖市では鹿島臨海工業地帯を形成し、工業化が進んでいる。県西部は関東平野の中央部にあたる農業を中心とした内陸の地域であり、栃木県との結びつきが大きい。結城市は結城紬の産地として名高い。県南部のつくば市には、筑波研究学園都市が整備され、常磐線やつくばエクスプレス（TX）の沿線は東京都区部のベッドタウンとしてのニュータウン開発も進められた地域となっている。