少年と獣人の奴隷

この世界では獣人には人権はない。

彼女もまた非道な扱いを受けていた。

そんな彼女を幼い俺は全財産を払って買い取った。

まあ、子供の小遣いなどたかが知れていたがもう死にかけていた奴隷を買うには十分だった。

俺は彼女を一生懸命世話した。

本当にひどい目に遭ったのだろう・・・身体は傷だらけで酷いモノだった。

「・・・ご主人様、ありがとうございます。」

俺の看病によって元気になった彼女はそういうと服を脱ぐ。

「こんなみすぼらしい身体ですが一生懸命ご奉仕させていただきます。」

その姿に俺はたまらなくなり優しく抱きしめた。

「・・・そんなことしなくていいよ。

 俺は君に元気になって欲しくてお世話をしたんだ。」

「・・・でも、お母さんはそうやってご主人様にお礼していたよ?」

「・・・そっか。」

この子は本当につらい目に遭っていたのだろう。

「ご主人様は何をしたら喜んでくれる?」

「・・・名前を呼んで。」

「名前?」

「そう・・・俺はソーマ。

 君の名前は?」

「・・・名前、ない。」

「なら、今日から君はルビーだ。」

「ルビー?」

「そう・・・君のその緋色の目にぴったりだ。」

「ルビー・・・私の・・名前・・・。」

それが俺とルビーの出会いだった。


「・・・ソーマ、また人間の雌を見ている。」

そう言うルビーは俺の腕をぎゅっと掴むとそのふくよかな胸に沈める。

「・・見てないよ。」

「うそ・・・ソーマ、あの雌の胸見ていた!」

そう言ってルビーは歩き去る女性を指さす。

「もう、欲求が溜まっているなら私が発散するって言っているでしょ!」

さらにその大きな胸を押し付けてくるルビー。

街には獣人と人間が平和に暮らしていた。

俺達が子供の頃には信じられない景色だ。

俺は多くの同志と共に時の権力者を打倒した。

全てはルビーを奴隷という立場から解放するため・・・。

多くの出会いと犠牲を出しながらも俺達は獣人たちを解放した。

今では同じ志を持った仲間がこの国を治めている。

「おっ・・・いい女。」

聞こえてきたのは軽薄そうな声。

「ねぇ彼女・・・俺と良いことしない?」

「・・・申し訳ありませんが私には連れが居ますので。」

そう言って冷たく男をあしらうルビー。

しかし、男はめげることなくルビーに声を掛ける。

「いいじゃん・・・こんな冴えない男といてもつまらないだろ?」

「そんなことありません、彼はつまらなくありません。」

「まあまあ・・・俺がもっと楽しいことを・・・。」

「・・・!?」

男がルビーの肩に手を置こうとした瞬間、俺は男の腕をひねる。

「ぐわぁ・・・!?」

男の腕はあり得ない方向に折れ曲がる。

「俺の女に手を触れようとするとは本当に命知らずに男だな。」

「て・・てめぇ・・・!?

 俺にこんなことしてタダで済むと思うなよ!

 俺は・・・。」

「ほう・・・この剛健のソーマに盾突く気があるとはな・・・。」

「なっ・・・ご・・剛健のソーマってあの・・・!?」

その瞬間、男は態度を変えて跪く。

「そ・・そうとも知らず、数々の無礼を!!

 ど・・どうか、命だけは・・・!」

「彼女に血なまぐさいところを見せたくない・・・今すぐ俺達の前から消えろ!」

「は・・はぃい!!!」

男は脱兎のごとく去っていく。

「ソーマ、ありが・・・。」

「こっちに来い。」

俺はそのままルビーを引っ張ると大人の宿屋に駆け込む。

そして、俺はそのまま彼女をベッドに押し倒した。

「ソーマ、どうしたの?」

「・・・すまない。」

「謝らないで・・・。」

そう言ってそっと抱きしめてくれるルビー。

ルビーがあの男に触られそうになった瞬間、俺の中に芽生えたのは嫉妬心だった。

嫌悪の目を向けていたとはいえ少しの時間、俺以外の男を見た彼女に怒りを覚えた。

「ソーマが嫉妬してくれることが嬉しいの・・・。

 だって、それだけ私のことを好きでいてくれているということなのだから・・・。」

「・・・そんな綺麗な気持ちじゃないさ。」

俺が彼女に抱いているのはそんな綺麗なモノではない。

彼女の全てを独占したい・・・髪の毛一本も他の誰かに触れさせたくないのだ。

「それでも嬉しいの・・・。

 ソーマはあの戦いでいっぱい武勲あげて他の雌たちが寄ってきて・・・。

 でも、それでも昔みたいに私に変わらない愛を注いでくれる・・・そんなアナタが私は好き・・・。」

「ルビー・・・。」

「ねぇ、ソーマ。

 あの頃よりも大きくなったよ・・・///」

そう言って彼女は俺の手を取るとそっと胸に置く。

「ルビー、愛しているよ。」

「私も愛してる///」

その日、俺達は永遠の誓いを立てるのだった。


昔、大きな戦があった。

その戦は一人の少年が愛する獣人の少女を過酷な運命から解き放つために起こしたものだった。

数々の戦いを多くの仲間と共にくぐり抜けてきた。

数々の出会いと多くの犠牲を払い少年はついに少女を運命から解き放つ。

そして、少年と少女は番となり多くの子供に囲まれ幸せに暮らしたのだった。

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