ある猫の一生

ぼくはジョムオ・・・この人の群れと一緒に暮らしてもう長い・・・。

この群れに入った時のことはよく覚えていない。

ぼくは、この群れの巣の前にいつの間にか立っていた。

この巣の小さいほうの雌と大きい方の雌がボクを見つけて巣の中に入れた。

ボクを温かいお湯で洗い毛布に包み込んだ。

そのあと、この群れのボスであろう雄とその息子と思われる二匹がボクを見る。

その二匹の息子はぼくを撫でる。

それからぼくはこの群れの一員になった。

ぼくは、この群れが気に入っている。

特にボスの息子たちとこの群れの中では一番小さい雌はぼくを可愛がってくれた。

彼らの誰かの布団に入り眠る毎日。

彼らは喜んでボクを布団の中に入れる。

時にはボクを自分の布団に入れようと取り合いになるがそういう時は、その日の気分でどれかの布団に入ることにした。

その当時の名前はケニーだった。

まあ、名前なんてぼくにはどうでもいい。

月日は流れてぼくは大人になる。

そのころ、巣穴を移ることになって慣れるのに苦労した。

それは、この群れの子供たちも同じようだった。

一番上の息子の雄は、この頃あまり家に帰らなくなった。

ボスと喧嘩するようになりその番である雌が仲裁に入る。

よく一緒に遊んでいたもう一人の息子の雄はそうなったときにはすぐにその場から逃げる小さい雌も同様だ。

ぼくはそんな光景を特に何も感じることなく眺めるだけだ。

大きい方の息子は家を出た。

そして、しばらくすると小さいほうの息子も家を出る。

小さいほうの雌は最近、大きい方の雌とボスに口答えするようになったみたいだ。

ぼくは、最近おしっこが出なくなってきた。

なんか、知らない場所に連れていかれた。

知らない雄に何かされた。

怖くて鳴いたが助けは来なかった・・・。

しばらくすると、ぼくは巣に帰ってきた。

すると、ご飯はいつもと違う。

最初の内はあまりおいしくなかったのであまり食べなかったが空腹には勝てずに食べることにした。

慣れてくると意外に美味しい。

しばらくすると、一番上の息子が家に帰ってきた。

群れはその息子の帰りを歓迎しておらずボスは毎日のようにその息子に怒鳴り散らかした。

ぼくは、そんなことを気にせずにその息子の布団の上で丸くなる。

くっついていると温かい・・・。

また、しばらくすると今度はその下の息子が帰ってきた。

その息子は布団から起き上がろうとはせずに毎日部屋の中でボーとしていた。

ぼくは変わらずにその下の息子の方に歩み寄るが優しく抱き上げられて部屋から追い出される。

この下の息子の部屋は日当たりが良いので本当に困りものだ。

下の息子は昔に比べて元気はなくなった。

笑うこともなく餌も食べない。

そんな様子にボスが怒るがその下の息子はなにも言い返さない。

その日、下の息子は目を覚まさなかった。

大きい方の雌が慌てたように下の息子を揺すっているが目を覚まさない。

しばらくすると、知らない雄たちがどかどかと入ってきて下の息子の雄をどこかに連れ去った。

それから下の息子の雄はしばらく家に帰らなかった。

その間も上の息子はボスと喧嘩して家から出て行ってしまう。

一番小さい雌も最近は元気がない。

ボスと番の雌は最近ケンカが多い。

寝ているのにうるさくてしょうがない・・・。

しばらくすると、下の息子と大きい雌は良くどこかに行くようになった。

下の息子はなにか青い粒を飲むようになった。

最近は下の息子の部屋にぼくはずっといる。

コイツは温かいので眠るときに使える。

最近、下の息子はぼくに何かを語り掛けるようになった。

しかし、人間の言葉なんてよくわからない。

まあ、頭やのどを撫でてくれるのでいいか・・・。


あれからどれくらい時間が経ったのだろう・・・下の息子は最近、元気になったみたいだ。

肉付きも良くなり最近は家にいることも少なくなっていた。

帰ったらぼくを布団の中に入れる。

最近は、あまり動けなくなってきている。

上の息子も時々帰って来るようになった。

群れのボスも以前に比べて上の息子に怒鳴ることはなくなった。

小さいほうの雌もだいぶ大きくなっている。

最近は人恋しいことが多くなってこの小さいほうの雌の部屋に行くことが多くなった。

寝るときに追い出されるがその時には下の息子の部屋にいくと布団の中に入れてくれる。

そういえば、他の群れの連中はぼくのことをジョムオと呼ぶがこの下の息子だけは最後までケニーと呼んでいたな・・・。


あれから、どれだけの時間が流れたのか・・・。

もう、身体は動かない。

大きい方の雌は泣きながらぼくを撫でる。

瞼が重い・・・大きい方の息子もなんか変な箱に入ってぼくの名前を呼ぶ。

下の息子はじっとぼくを見ている。

小さい雌も泣いていて、ボスは入口の所でぼくを見ていた。

名前を呼ばれる・・・二つの名前・・・ジョムオ・・・ケニー・・・。

ああ・・・なんか・・・だんだん・・ねむ・・く・・・。


ぼくの身体はとても軽い。

この群れからはもうぼくは見えないみたいだ。

ボスとその番はあれからあまりケンカすることはなくなった。

上の息子は毎日机に向かって忙しそうに働いているみたいだ。

下の息子は他の雄や雌にペコペコしながらも楽しそうに働いている。

小さい雌はどこかの群れに入るため頑張っている。

ぼくは、今日もこの家で彼らを見守っている。

ぼくの大切な家族を・・・。

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