短編集

わっしー

伝説の剣はヤンデレだった。

「ここに伝説の剣があるのか・・・。」

俺は片田舎に住む勇者だ。

魔王を倒すと、綺麗なお姫様と一生遊んで暮らせるほどの金銀財宝が各国からもらえるということで魔王討伐を目指して旅に出た。

「これが・・・伝説の剣?」

そこには神々しい光を放つ伝説の剣と呼ばれる剣が台座に刺さっていた。

この剣の情報を離してくれた賢者の話を思い出す。


「その剣は強大な力を授ける代わりに一度その剣を手にした者を離さないといいます。

 一生持ち主から離れず、その呪縛から解かれるには元の台座に封印するしかないとのことです。

 その覚悟はアナタにありますか?」


「覚悟は出来ている!

 俺は必ずや魔王を倒して世界を平和に!!」

そして、剣の柄を握る。

剣は何の抵抗もなく引き抜かれその刀身が露わとなる。

白銀に輝くその刀身はとても美しく俺の心を惹きつけた。

「美しい・・・。」

「あら、嬉しいこと言ってくれますね///」

その時、剣が輝きだし剣は光の粒子となって形を崩す。

そして、その粒子が集まり人の形を形成するのだった。

そこに現れたのは綺麗な女性だった。

「・・・ふふ、ビジュアルは合格ですね♡」

そう言う彼女は嬉しそうに俺を眺める。

「あ・・あの、君は?」

「ああ・・・少し驚かせてしまいましたね。

 私は伝説の剣です。

 これから末永くよろしくお願いしますね♡」

そう言って彼女は俺の腕を掴むとその豊満な胸でホールドする。

「えっ・・えっと・・・よろしく・・・。」

こうして彼女との旅が始まる。


様々な困難を乗り越えて俺は魔王の元へとたどり着く。

「よく来たな、勇者よ!

 さあ、私と勝負を・・・。」

「あっ・・・やばい、女性なんだ・・・。」

「うん?

 いかにも余は女だが、まさか貴様・・・女相手では戦えないと申すか!?」

「いや・・そういう訳じゃなくて・・・。」

「勇者に色目使う雌犬がいるようね・・・。」

次の瞬間、底冷えする冷たい声が剣から漏れたと思うと、剣は光の粒子になり崩れる。

そして、光の粒子が集まりヒト型を形成するのだった。

そこには鬼の形相をした伝説の剣(人型)が立っていたのだ。

「私の勇者は渡さない・・・彼は私と庭がある家で子供は男の子と女の子が一人ずつ、大きな白いワンちゃんを飼って毎日イチャラブするの・・・。」

伝説の剣は姿勢をかがめる。

「それを邪魔する奴は、私が殺す!」

次の瞬間、すごい勢いで魔王に肉薄する伝説の剣。

「お・・思っていた最終決戦とは違うけど!

 これでも喰らえ、ヘルファイア!」

地獄の業火が伝説の剣を飲み込む。

「無駄!!」

しかし、伝説の剣にはその魔法は効かない。

そのまま伝説の剣の拳が魔王のお腹にクリーンヒットする。

「がはっ!?」

「勇者は私のモノ!勇者には私しかいないの!私以外の女が勇者を見たらぶち殺すの!殺す殺す殺す殺す・・・・!」

そこからは一方的な殺戮ショーだった。

魔王は何度か変身を繰り返したがそんなことでは伝説の剣は止まらず三回目ぐらいの変身で事切れた。

最後には両手を魔王の血で真っ赤に染めた伝説の剣の姿があるだけだった。


「おお、勇者よ!

 よくぞ魔王を討伐してくれた!

 褒美に金銀財宝と姫を・・・!」

「王様、そのことなのですが俺はそれを辞退しようと思います。」

「な・・なんと!?

 どういうことだ、勇者よ!?」

「私の報酬はこの世界の平和・・・それだけで十分なのです。

 財宝なども魔王城にあったモノだけで十分なほどですので要りませんし、姫様は俺なんかよりも素敵な方がいると存じます。

 なので、俺はここで失礼させていただきます。」

そう言って勇者は城を去っていった。

「なんと無欲な若者か・・・彼に王位を継いでもらえばこの国は安泰だったろうに・・・。」

「無理強いは出来ません、お父様。

 彼がそう言うのであれば私はそれに従った方がよいかと・・・。」

「おぬしはそれでよいのか、姫よ?」

「はい・・・この恋心はずっとこの胸にしまうとします。」

そう語る姫の目には涙が浮かんでいたのだった。


「さすが、勇者!

 あのくそビッチの誘惑に負けずに私への愛を貫くなんて・・・///」

そう言って彼女はその豊満な胸を押し付けてくる。

「はは・・・当り前さ・・・。

 オレニハキミダケダヨ・・・。」

もしあのまま姫様を娶るということがあったのなら血の海が出来ていただろうし、彼女が第二の魔王になりかねない。

なんせ、魔王(女)を一方的に蹂躙したのだから、そんな相手に人類が勝てるはずない。

「さて、勇者・・・いえ、ダーリン♡

 これからも一緒だよ♡」

「モチロンサ・・・・。」

まあ、少し性格には難はあるがそれ以外は俺の理想みたいな女性だ。

そんな彼女との結婚生活はきっと楽しいモノになるのだろうと俺は自信のこれからのことを考えるのだった。


ここは、人里離れた民家。

そこには世界を救った英雄とその相棒である剣が晩年を過ごした場所。

彼らはとても仲が睦まじく、多くの子宝に恵まれたとのことだった。

英雄は天寿を全うするとき、一本の剣が英雄の遺体と共に火葬された。

その剣はどんなことをしても折れず刃こぼれもしない伝説の剣だったが火葬された際には英雄の遺灰と共に灰になり交わり合ったという。

まるで、その剣は自身の愛する人を離さないと言わんばかりに・・・。

「ずっと・・・ず~と、一緒デスヨ・・・ダーリン♡」

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