第2話 サックスの天才をスカウト。

 俺は絵師さん募集の張り紙を作り終わる。これをコンビニでコピーしてと。


 その後、教頭先生とのパイプを使い全校舎に張り紙をする許可を得た。しかし、ヤーチューブを使うとなるとCDなどのデジタル音源の音楽が流せないな。


 俺は頭をポリポリしながら校舎裏に行く。この辺をラストにしよう。


♪~


 何処からか、サックスのメロディーが聴こえてくる。


「いいね、サックスの響きはどの時代も変わらない」


 一緒に行動していた麗子が呟く。俺は更にひらめいた、このサックス奏者を『梅の里』にスカウトしよう。


 サックスの音源に近づくと。


 銀髪で髪の長い天使の様な女子が居た。


「そこの女子、我が放送部に力をかしてくれないか?」


 流石、麗子、初対面でも気軽に声をかけられる。この手の勧誘のテクニックは見習いたいものだ。


「貴女は?」


 流石にいきなりはダメか、俺が勧誘のセリフを考えていると。


「ウチは麗子、幽霊をしている。どうだ、ここは一つリクエストに応えてくれないか?曲名はTKサウンドの原点、ゲットワイルドだ」


 ああああ、普通困るだろ、いきなりTKサウンドとか、このおばさん幽霊が!!!


「OKです」


は!?


 天使の様な女子はゲットワイルドを奏で始める。


 凄い、凄すぎる。


♪~♪~♪!!!


 おーこれで放送部に入ってくれたら音楽に困る事はない。よし、勧誘、頑張るぞ。


「そこでだ、放送部に入る、条件とかあるか?」


 ここは攻めの勧誘で行こう。


「私の名前は『佐智山 舞姫』欲しいモノと言えば恋がしたい」


 恋か……難しいお題だ……。


「ポ……ッ、君の名前を聞きたい」

「あ、これは失礼、『石垣 真司』だ」

「ポ、嬉しいですわ」


 うーん、頬を赤らめて言われると俺でいいのかと勘違いしそうだ。


「真司は私との恋は嫌か?」


 あれ、ストレートな告白だな、恋の経験の無い俺にどうしろと言うのだ。


「真司はウチのモノだよ」


 麗子が話に割って入る。このままでは舞姫の放送部に入部は厳しいかな……。


「対立ではなく、同盟でどうだ?」


 え!?


 麗子が妙な事を言い出す。


「うん、同盟、真司の大好き同盟、了解したわ」


 二人は握手をして同盟成立を確認する。


 ああああ、恋愛、初心者の俺にとっては苦難の始まりであった。

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