第10話、スカーレット.フェニックス
遂に、ナナミシノハラがデザインしたドレスが完成した。七海は、そのドレスを身に纏い、鏡の前に立った。深紅の生地は、まるで燃え盛る炎のよう。複雑な刺繍が施されたスカートは、優雅に広がり、彼女の美しさを際立たせていた。
静寂に包まれた空間で、彼女はゆっくりとドレスを回転させた。
ナナミシノハラは、満足げに微笑んだ。
「名前は…そう!スカーレット・フェニックス!」
彼女は、強い意志を込めた声で、ドレスに名付けた。不死鳥を思わせる、情熱的で力強い名前。
「強い不死鳥よ!」
彼女の言葉に、七海の胸が躍った。このドレスは、単なる衣服ではない。彼女の魂を表現する、力強い象徴なのだ。
「いいですね(笑)どうかしら?七海さん?」
ナナミシノハラは、七海に問いかけた。彼の瞳には、期待と少しの不安が混ざっていた。
七海は、深く息を吸い込み、そしてゆっくりと口を開いた。
「はい!素晴らしいと思います!」
彼女の言葉は、彼の努力を肯定するものであった。同時に、このドレスが持つ可能性への確信を、彼に与えた。
二人は、静かに言葉を交わし、ドレスについて語り合った。生地の質感、刺繍の細かさ、シルエットの美しさ…あらゆる点について、意見を交換した。それは、単なる仕事仲間としての会話ではなく、創造者と創造物が織りなす、特別な時間であった。
完成したドレスは、七海の身体に完璧にフィットした。まるで、彼女のために作られたかのように。深紅のドレスは、彼女の肌を美しく輝かせ、彼女の存在感を際立たせていた。
その夜、七海はスカーレット・フェニックスを身に纏い、華やかなパーティーに出席した。会場の誰もが、そのドレスの美しさ、そして七海の気品に魅了された。
パーティーの後、七海はナナミシノハラに感謝の言葉を述べた。
「本当にありがとうございました。このドレスを着て、私は新しい自分に出会えた気がします。」
ナナミシノハラは、静かに頷いた。彼の瞳には、達成感と、新たな創造への意欲が満ち溢れていた。
スカーレット・フェニックスは、二人の絆を象徴する、特別なドレスとなった。そして、それは、七海の輝かしい未来への序章でもあった。
数日後、ナナミシノハラは新しいデザインに取り組んでいた。彼の頭の中には、既に次のドレスのイメージが浮かんでいた。それは、スカーレット・フェニックスとはまた違った、新たな魅力を持つドレスとなるだろう。彼の創造は、これからも止まらない。そして、七海は、これからも彼の創造のムサを体現する存在であり続けるだろう。二人のコラボレーションは、これからも続く。それは、まさに、不死鳥のように、何度でも蘇る、永遠の創造の物語であった。
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