第3話 冒険者デビュー

「それでは、申請の説明をさせていただきます。」

受付嬢のエルフが丁寧に一つずつ手順を教える。

どうやら受付にある水晶に手を触れると、個人情報やそれぞれにあった役職、持っているスキルなどのステータスが表示されるらしい。

「それではそこの、、、あっ、その前に私の名前はエリナ・ティーポ。見ての通りエルフ族です。気軽にエリナとおよび下さい。」

エリナは、軽く自己紹介をした。

「改めまして、そちらのウルフ髪のお兄さん、こちらにどうぞ。」

「すみません、私女なんですけど、、、」

羽奏わかなは、性別を間違えたことを気まずくなりながら、エリナに伝えた。これは、羽奏にとって日常茶飯事だが、やはり、初対面の人に間違われるのは、少しだけ気になるのだ。

「申し訳ございません、それでは、ウルフ髪のお姉さん、こちらにどうぞ。」

羽奏が水晶に触れる。

“ 

 名前:白藤しらふじ羽奏わかな 

スキル:瞬間移動テレポート

 役職:賢者(仮)

 武器:矛、弓矢

 属性:電気

  Lv:10  

「やったー!電気タイプだー!きたー!、、、あれ?役職、賢者(仮)って何?こんなんあるの?何これーー!」

謎の表記に戸惑った羽奏は、自分の後ろに立っているメンバーに結果を見せていた。

「それでは、そこのおにいさん、こちらへどうぞ。」

そんなことをしている間に、賢の番になった。

 名前:小川おがわけん

スキル:タイムストップ

 役職:戦士

 武器:グローブ

 属性:炎

  Lv:10

「時間止められるん?強すぎw」

「次に背の高いお兄さん、こちらにどうぞ。」

竜也たつやが水晶を触る。

 名前:天野あまの竜也たつや

スキル:物体強化ビルドアップ

 役職:タンク、射撃手

 武器:銃

 属性:無

  Lv:10

「おめでとうございます!」

エリナが竜也の表示を見て拍手をした。エリナの様子を見ても、察しの悪い竜也は、全く気づかないようで、エリナがそれを感じ取り、説明をする。

「こちらの役職の欄、ここに2つの職業がありますね。」

「それがなんかあるんですか?」

「普通、適切役職の表示される数は1人につき1つなのです。この結果は、とても珍しいんです。」

エリナから説明を受け、竜也は、横で話し合っていた。賢と羽奏のほうをニヤニヤしながら見た。

「これすごいんだって、珍しいんだってwやっぱ、俺の才能はどこでも通用するってことなんだよなぁ」

「は?でも、タンクって書いてあるじゃん。タンクって、盾代わり役職じゃん」

「やーい、盾代わりドラゴンwさらに属性無色ー!」

竜也の言い方に腹の立った賢と羽奏は、欠点を探して煽りをかける。

「お三方、受付でのけんかはおやめ下さーい!」

3人の言い合いにエリナが割って入る。

「あっ、大丈夫っスよ。いつものことなんで。」

「私たちのステータスもお願いします。」

「か、かしこまりました。では、髪を結んでるお嬢さん、こちらへどうぞ。」

まきが水晶に触れる。

 名前:雨月うづきまき

スキル:天の楽園ヒールエデン

 役職:魔術師

 武器:杖

 属性:水

  Lv:5

「良いですね、魔術師。私も昔目指してたんです。でも、普通の人たちより魔力がなくて、諦めたんですよね、、、」

「そうなんですか、、、」

エリナの顔が少し曇ったのをまきは見逃さなかった。

「最後ですね、それでは、水晶に」

「はいっス」

よしが水晶に手を触れる。

 名前:先町さきまちよし

スキル:万物創造メイカープロキシー

 役職:創造者、召喚者

 武器:ふで、魔物召喚の書

 属性:土

  Lv:7

結果を見て、エリナが目を見開いた。

「これは、またまた珍しい。そして、おめでとうございます!」

「何がですか?役職は竜也のと同じ感じっスし、、、」

「なにがって、よく見て下さい、スキルのところにプロキシーと、書いてありますよね。」

みんながよしのステータス表示を見る。

「このプロキシーは、今後進化する可能性のあることを示しているんです。」

「「「「「えーーー!」」」」」

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