第2話 リニジオ

 塔のある街を目指してしばらく、着いた街の名前は”リニジオ”。ここは王都直属の店が多く並び、たくさんの種族が暮らしている。

「っしゃーついたー!ギルド探すぞー!」

勢いよく飛び出した羽奏わかなの後に続いて、けんとよしが走り出す。

「カナーまってー!」

まきが三人に声をかけて、追いつこうとする。そのとき、

「そこにギルドあるじゃん。」

竜也たつやがギルドを見つけてしまった。それを聞いてすぐ、走っていた4人は急ブレーキをかけ、きれいにこけた。

「オイゴラ、何さらっと見つけちゃってんだよ。これからわーって探そうと思ってたのに~」

「ごっめーん⭐でも、見つけちゃったし、とりま入ろ!」

少し自分勝手な竜也に振り回され?羽奏たちはギルドの中に入っていった。

『3番テーブルに生4つ!』 『それでそん時のあいつと言ったら、、、』

にぎやかな会話が交わされたギルド内は、半分酒場、半分役場のような形態になっていた。

『こちらが今回の依頼書ですね。お気をつけて行ってらっしゃいませ。』

賢が入り口から数歩先に役場の窓口を見つけた。まきの肩をつついて、合図し、5人は窓口へ向かった。

 「次の方どうぞ。」

窓口担当のエルフに呼ばれ、賢たちは羽奏を前に押し出した。

「今回はどういったご用件でしょうか?」

「えっと、新人冒険者の申請をしたくて、、、えっと、、、」

「なるほど、冒険者登録ですね。分かりました。少々お待ちください。」

「あっ、はい。」

聞かれたことしか口に出せない癖が足を引っ張っているように羽奏は感じた。それと同時に自分にこれを任せたほかの4人のほうを向いて、後で覚えとけよと、目でうったえた。それを見た4人は、悪気がないように ニコニコしている。

「おまたせしました。」

エルフが戻ってきて、羽奏は急いで正面を向いた。




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