第4話 可愛い可愛い我が子へ

 私は三代目ヘイラム男爵家当主アレク・ヘイラムである。よわい43になる。

 本日、我がヘイラム家に新たに1人家族が増えた。大変喜ばしい事である。5番目の子供である息子のアギトへ他の4人の子供達と同じように私の気持ちをここへ記そうと思う。



 息子アギトへ

 まずは生まれて来てくれて有り難う。君と家族になれた事を嬉しく思う。

 二十歳はたちになった時君への気持ちを記したこの本を贈ろうと思う。

 私の父は20年前のドラゴン襲来の際に命を落としている。その時に上の兄二人も亡くし、初代も片腕を失った。領民も5分の1程失い未曾有の被害をおったが父上や二人の兄上、初代の祖父のお蔭でドラゴンを倒す事が出来た。だが何時ドラゴン級かそれ以上の脅威が来るか分からない。

 だからこそ私の愛を書き残こすのだ。勿論、君が二十歳になった時、私、自らの手で渡すつもりだがね。

 まずは君の家族の紹介だ。君の母はエスカレート・ヘイラム 38歳、私の代から始まった王都の学園に通うようになった時に出会った私の運命の相手だよ。勿論、君を愛している。

 一番上の子は長男のギエラ・ヘイラム18歳、今年で王都の学園を卒業する予定だよ。文武に秀でて魔法も剣も使う万能型の戦士でもある。この領を切り開いたお祖父様を超えると言われている家の有望株だ。君に早く会わせたいよ。

二番目の子は長女のユリヤ・ヘイラム16歳、王都の学園の一年生。まだ後2年は会えないね。魔法特化の頭脳派だよ、私に近い戦闘スタイルだ。

三番目の子は次女のエリザベート・ヘイラム10歳、姉と同じ魔法特化だね。君と初めて対面した時ずっと話しかけてたんだよ。

4番目の子は次男のケイン・ヘイラム5歳、日夜戦闘訓練と勉学に励んでいるよ。君と初めて対面した時恐る恐る頭を撫でていたよ。

そしてこの領を切り開いた初代当主ギヤス・ヘイラム102歳、魔法を使わない剣闘士だ。片腕を失ってなお我が領最強なんだよ。父さんは大魔導などと呼ばれているけど今も全く歯が立たないんだ。

お祖母様のシェラテリア・ヘイラム87歳、治癒系の魔法に特化した穏やかなお人だよ。

後、亡き父や兄上の事は君がもう少し大きくなったら話そうと思う。

この家族と君が家臣団を引き連れてこの領地を守り拡大して何時か国へと押し上げるんだ。それが祖父から父、父から私へと受け継がれた野望なのだから



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