第3話太郎

ああ~逃げ出したい。わたしは緊張し過ぎて何回も太郎の顔写真をスマホで見つめた。


『はい。日曜日、大丈夫ですよ。』


太郎とメールをし始めて三ヶ月過ぎ、やっと会うんだ。優しい人なら良いな。わたしと太郎は中間点の駅で会う事に決めた。


電車に乗って頭の中が真っ白だった。


太郎からメールが来た。


『早く着いちゃいました。改札口で待ってます。』


真面目な人。早めに来てくれたんだ。駅に降りて太郎を探した。すぐに分かった。


「あの、」


「はい。」


「太郎さんですか?」


「はい。由美さんですか?」


わたしと太郎が、出会った瞬間だった。


何故か話しやすい。

お店も決まって無いのに不安は無かった。

街中を並んで歩きながら自然と口が開く。


あるチェーン店の喫茶店に入った。


お互いの話をした。


太郎は、良く話すが聞いてもくれる男だった。

お互いの離婚原因の話になった。


「元妻が、浮気をしまして離婚しました。」


「それは、辛かったですね?」


「いや、自分にも責任があると思うので。」


わたしは、そんな寛大になれない。太郎の器の大きさを感じた。


「怒らなかったんですか?」


「ただ、驚きました。」


太郎、ニコニコ笑いながら答えた。


わたしは、今でも元夫が許せないのに。


「でも、由美さんと俺が出会えたのってお互いの元パートナーのおかげですよね?」


「そうですね。」


確かに、


「そろそろ帰りましょうか?」


太郎は、早めに言ってくれた。


帰りの電車に揺られながら緊張したとわたしは思っていたが、やっと会えたと嬉しい気持ちもあった。


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