第24話

「で、ダルク先輩どこいる?」

「サボってそうな場所探せばすぐ見つかるんじゃね?」

「たしかに」

オレとミラージュは、夜の街をふよふよ飛びながら、ダルク先輩を探す。

寒い冬の夜、もちもちの大福を持った死神探したっていいじゃねぇか。

「つーか、なんで先輩大福持ってたんだろうな?」

「ダルク先輩だぜ? テキトーに誰かからもらったとかそんなオチだろ~」

「まぁ、それっぽいよな」

そんなことを話していると、ミラージュが「あっ」と指をさした。

「見っけ! あそこ!!」

視線の先には、とあるビルの屋上。

黒いローブを翻しながら、いつもの気だるそうな雰囲気で座ってる死神がひとり。

「いたわ、絶対サボってる。」

オレとミラージュは軽く笑い合いながら、屋上に降り立った。

「おーい、ダルク先輩~~~!」

「んー?」

声をかけると、ダルクはめんどくさそうに顔を上げる。

「お前ら、なんでオレを見つけるのがそんなに早いんだ?」

「いや、サボってそうなとこ探せばだいたいいるからな」

「だれがサボってるって?」

ダルク先輩は苦笑しながら、ローブのフードを少し引き上げる。

「で、何の用?」

「この間大福持ってたじゃん? どこで手に入れたのか教えて〜」

「……お前ら、仕事の話じゃなくてそれかよ」

「いや、マジで重要なんだよ!!」

「そうそう! 甘いもんは大事だぞ!!」

ダルク先輩は「はぁ……」と深い溜め息をついた後、「まぁ、後でな」と立ち上がる。

「後でってなんだよ、今言えよ」

「いいから、下見ろ」

ダルク先輩が顎で示す。

オレとミラージュは言われた通り、ビルの下を覗き込む。

そこには――。

ぽつんと立ち尽くす、一つの魂。

青白く透けたシルエットが、街灯の下でふらふらと揺れていた。

「……彷徨ってんなぁ」

「だな」

オレとミラージュは顔を見合わせ、そっと屋上から飛び降りる。

大福の話は、一旦置いとくしかねぇか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る