第18話
「……雪降ってんねぇ」
ふわふわと落ちてくる白い粉雪を見上げながら、オレはローブの裾をギュッと握った。
「ペラいわ、マジで。寒い。」
夜の街をふよふよ飛びながら文句を言った瞬間――。
「アッハ!」
……やべぇ、くしゃみ出た。
…こんな薄っぺらい布一枚で、冬の夜空飛び回ってみろよ!! 普通に寒いわ!!
「……あっ、ミラージュじゃん」
ちょうどビルの屋上で暇してるミラージュを見つけ、降りていく。
「寒いよな、マジで」
「うん…デモ…ナレタ」
ミラージュは、めちゃくちゃ遠い目をして頷いた。
……やっぱ寒いんじゃねぇか。
死神だからって、人間と違うからって寒いし。
「なぁ、ちょっと考えたんだけどさ」
「ん?」
「人間に化けて、コート買おうかなって。」
ミラージュが「ほぉん?」って顔をする。
「いやだって、寒いし。上からローブ着ればバレねぇだろ?」
「……天才か?」
「だよな!?」
ミラージュとオレは、ガシッと握手を交わす。
コートを手に入れれば、冬の夜でも快適に仕事できる。
そして、ローブを上から羽織れば、死神の威厳も損なわれねぇ。
……あとバレにくい。
完璧な作戦じゃねぇか……!
「なぁ、マジで今から行かね?」
「いいねぇ。どうせならオシャレなの買おうぜ」
「やっぱロングコートがいいよな?」
「うんうん、黒とかダークグレーあたりが似合いそう」
死神二人、夜のビルの屋上でファッション談義。
仕事のことは、一旦忘れることにした。
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