第15話
ダルク先輩に何かについて聞いて(なんだったのかはわかんないけど)はや数日。
「なぁ、最近さ――悪霊、多くね?」
夜の空を漂いながら、オレはぼんやりと呟いた。
ここ数日、魂回収の仕事してると、やたらと悪霊化しかけたヤツを見かける。
未練が強すぎて成仏できねぇとか、元からやばい性格してて死後も暴れてるとか、理由はいろいろあるけど……それにしても増えすぎだろ。
オレの隣を飛んでいたヴェイルも、「うーん」と少し考え込む。
「そう言われると悪霊化しそうだったりしてたりの魂の処理ばっかりしてるけど」
「だよな? なんか最近、死後すぐ悪霊になるヤツが増えてね?」
通常、魂ってのは死んでからしばらくは"人間らしさ"を保ってるもんだ。
未練があっても、いきなり悪霊にはならない。
のに、最近は、死んだ瞬間から異様に濁ってる魂が増えてる。
「つーかさ、誰か仕事サボってんじゃねぇの?」
オレが冗談半分にそう言うと――。
「アホ、違うだろ絶対」
隣で飛んでたヴェイルが、鋭いツッコミを入れながら叩いた。
「いてっ! なんで頭叩くんだよ!」
「そういう問題じゃないからだ」
ヴェイルは呆れたようにローブをひるがえしながら、オレの前に降り立つ。
「いいか、ヴェスペル。サボってるだけじゃ悪霊にならない。そんな単純な話じゃないんだよ」
「……じゃあ、なんなんすか?」
「"何か"が起きてるんだよ」
ピンと張り詰めた声。
普段は軽い雰囲気のヴェイルが、珍しく真剣な顔をしてる。
「……"何か"って?」
「さぁね。でも、ここまで悪霊が増えるのは普通じゃない。何かが、魂に影響を与えてる。」
ヴェイルの言葉に、オレは少し寒気を覚えた。
魂に影響を与える"何か"……?
そんなモンがあるなら――オレたちの仕事に、かなりヤバい影響が出るんじゃねぇか?
「……おい、ちょっと待てよ。マジでめんどくせぇ話になってね?」
「……たぶんね」
オレとヴェイルは、夜の街を見下ろしながら沈黙する。
悪霊の増加は、ただの偶然じゃない。
――何かが起きている。
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