第6話 中途覚醒

 私は中途覚醒に悩まされない日はなかった。

 午後10時に眠れば、必ず午前1時に目が覚め、午後11時に眠れば、午前2時に目が覚める。


 私の体内時計は狂っていた。どんなに穏やかな一日を過ごしたとしても、必ず夜間に覚醒するのだ。



 私ははじめ、これを憂鬱症の影響ではないかと考えていたが、その考えはたちまちかき消された。

 この中途覚醒はもはや習慣と化していた。中途覚醒の問題は、一度目が覚めるとその後になかなか眠れないことだった。


 深夜の真っ暗な部屋で、私はぼんやりと宙を眺める。

 エアコンが空気を吸っては吐き出す音を聞き、その規則的な流れに意識を向ける。


 意識は規則性を感じると、眠気を思い出すようになる。私はしばらくエアコンの音を聞き続け、眠気が再来するのを待った。


 しかし、その日はなかなか寝付くことがてきなかった。私は「午前4時までは眠れないだろう」と確信しながら、一人ため息をついた。



 本を読む気にはなれなかった。長いこと考えた挙句、私は思考整理のために文章を書くことにした。


 私はスマートフォンを使い、自分の思いをありのままに書いた。そうこうしているうちに時間が経ち、気がつけば1時間が過ぎていた。


 私は満足したが、脳は活性化され、ますます寝付きが悪くなった。

 「明日は仕事に行けるだろうか」。そんな疑念が脳裏をかすめる。


 毎晩がこの言葉の繰り返しだった。上手く眠れないと、仕事のパフォーマンスに影響するため、私はいつもそのことを懸念していた。

 その懸念がさらなる不眠を招き、私の睡眠時間はますます削れていった。


 私はこの負の循環について、為す術ないと諦めていた。覚醒と入眠のバランスは、自分では制御できない部分が大いにあった。


 私は完全に目覚めてしまった意識を弄びながら、いつまでも窓を眺めていた。

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