第8話「死んで死んで死んでまた生きて」

「それじゃ私は行くところがあるから2人ともお留守番お願いね、もし竜が帰ってきたらちゃんと竜の言うことを聞くように」


「「は〜い」」


二人の子供の声がその空間にこだまするのを聞き届け、私はある者の場所へ向かうのであった。


「久しぶりだねぇ♪魔王」


「おぉ!一ヶ月ぶりか?」


そう、気のいいおっちゃんこと魔王のところに私は来ていた。


「いつ見てもその格好、すごい違和感がするね」


「ハッハッハ〜、よく部下にもそう言われているが…そんなに似合ってない…?」


「うん、はっきり言って全然、農家の格好したほうがまだ似合う」


「はっそりゃあひどい言いようだな」


そう魔王らしからぬ口調でよく笑う彼こそが11年前に勇者の村を滅ぼし私に道案内をしてくれた張本人だ。


「それで、今日もやるのか?」


「もっちろ〜ん、今日も今日とて君がどれだけ強くなったか確認をね〜」


「なら俺から行かせてもらうぞ!」


「いいよ〜」


そう返事をしたあと魔王は自身の周りに魔力を集め始め、詠唱を開始し、魔法陣を形成していく。


「万物を焼き尽くす炎よ、万物を飲み込まんとする闇よ、今この場で我に目の前の敵を滅ぼす力を与えよ」


炎影えんえい


「ん〜」


ま〜た厄介な技覚えてらぁ、鑑定結果はコチラです。黒い炎に触ったら燃える、黒い炎の影に触っても燃える、ここら一帯を覆うだけでその一帯は焼失する…ほんとにとんでもない技だなぁ。


「相変わらずとんでもない技だね、能力発動『無効雷雷むこうらいらい

能力発動『絶対必中ぜったいひっちゅう』」


「お前ほどじゃないだろう!?」


そう言いながら全弾耐えてくるのは説得力が無いぞ。


「炎光!」


「能力発動『絶対遮断』能力発動『鏡境反射』」


「はぁぁぁぁ!?そんなのありかよ!?」


それから数十分後〜


私達は殴り合っていた。魔法やらなんやらによる特殊系の攻撃じゃあ効果が無いことはずっと前からお互い分かってたしね、今回は魔王が新たに習得した魔法の披露会みたいなものだったし。


「…」


「…」


もう話すことも尽きた、あとはただ気の晴れるまで殴り合うだけ。


……こうしていると昔を少し思い出す。ひたすら彼女と殺し合っていたあの時を。


……………殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで生きて生きて生きて生きて生きて生きて生きて生きて生きて生きて生きて生きて生きて生きて生きて生きて生きて生きて生きて生きて生きて生きて生きて生きて生きて生きて生きて……そんな懐かしいあの頃を思い出す。


っとそろそろ決めないとね、勇者達に心配されちゃう。


「えい!」


「ぐべぇ」


なんか今すごく間抜けな声が聞こえてきたけど聞かなかったことにしてあげよう。


「ははっ相変わらず強いな」


「お前だって前より耐えてきたんじゃないか?」


「そうだったら良かったがな、結構きついんだぞ?これ」


「そういうもん?」


「そういうもんだろ」


思っていたよりもダメージがあったらしい、次からはもっと魔力込めようかな。


「っと、そろそろ戻らなくちゃ」


「おう、また今度な、勇者育成頑張れよ」


「はいは〜いまたね〜」


え?どうして魔王が勇者育成のこと知っているのかって?そりゃあもちろん私が口を滑らせたからに決まってるじゃあないか。

竜には何してんだとこっぴどく怒られたなぁ。


➖️➖️➖️➖️➖️➖️あとがき➖️➖️➖️➖️➖️➖️

第八話、如何でしたでしょうか!

まさかいつの間にか神は魔王と友達になっていたようです。しかも魔王は勇者の育成を認めているとか、多分勇者が生き残ってしまったのなら仕方ない。挑んできた時に真っ向から潰そう!みたいなことでも考えてるんじゃないんですかね。

それでは!ここまで読んでいただきありがとうございました!これからもよろしくお願いします!

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