初探索

~樹海入口~

《透き通る緑。木々は道と部屋を作っている》

《動物の声がする。穏やかな様子だが、その中に確かに魔物は存在する》


ライラック「どの木も背が高いわねー」


ローシェンナ「思うままに伸びたって感じだね」


シャウラ「広場がぽつぽつあるおかげで、あんまり暗くないのよね」


《地図を見ながら歩いていくと、人の気配》


ライラック「あそこが基地みたいね」


〜調査隊基地〜


《近づくと、学者服を着た青年が歩いてくる》


学者「ごきげんよう。あなた方は……」


スピカ「が、学院の……調査チームです」


学者「ああ、お話は伺っています。ただいま隊長を呼んで参りますので、お待ちください」


《青年はそそくさと去り、別の学者を連れてくる》


《装いは他の学者と比べて重厚感があり、隊長であることがすぐに判断できる》


《ただし、身長は目立って低い。ライラックよりも頭半分ほど小さい》


学者「それでは、失礼します」


???「やあ、初めまして!僕は王国騎士隊、調査隊長のファニエだ」


ファニエ「樹海の調査のために、王都から派遣されている」


ライラック「よろしくお願いします」


ファニエ「よろしく頼むよ。僕たちは魔法が使えないから、魔物への対抗力に乏しい……だから、君たちが手を貸してくれるのは本当に助かるよ!」


「僕としてはすぐにでも本格的な導入を進めたいところだけど……そう上手くはいかなくてね。やれやれ」


「それでも、君たちが来てくれてよかった!くれぐれも無理をしないようにね、樹海はまだ謎だらけだ。何が起こるかわからない」


「えっと、伝えておくべきことは……。そうだ!調査報告はヴァニラ殿に行うんだっけ?面倒なルールだね、大臣が決めたんだろう」


「そういうわけだけど、気になったことがあったらここで相談してみてね!君たちのことを全力でサポートするよ」


ローシェンナ「ありがとうございます」


《ファニエは手を振って去る》


シャウラ「あまり人が多くないみたいね?」


ライラック「樹海の探索はあまり重要視されていないようね。現女王が興味を持ってやっと力を入れ始めたところかしら」


ローシェンナ「まあ、樹海に住む訳でもないし……他のことを優先するのもわからなくはないかな」

「むしろ、調査の余裕があることは明るく捉えていいかも」


ライラック「それもそうね」


《基地を離れ、探索を続ける》


スピカ「あ!」


《スピカが前方を指さすと、巨大な蝶の姿。4人の目の前まで降りてくる》


ライラック「ま、魔物とは数回しか戦ったことがないけれど……こういう魔物は銃に弱かったはず」


スピカ「それならサポートするよ」


シャウラ「私もやってみる」


ローシェンナ「えっと、怪我をしたら私に任せてね!」


《戦闘:ヴェノムフライ》

《初めての戦闘は順調に終わる》


スピカ「よし。無事に終わった」


シャウラ「き、緊張した……」


ライラック「地図が書かれてない、未開の地は魔物がどんどん出てくると思うわ。注意して進みましょう」


ローシェンナ「うん!」


《途中、巨木が倒れて道が塞がっている》


ライラック「大きな木ね」


ローシェンナ「通れなさそう、かな?」


シャウラ「さすがに……うーん、道具もないし難しそう。調査隊に聞いてみた方が良さそうね」


スピカ「引き返すかあ」


ライラック「でも結構進んできたんじゃないかしら」


スピカ「そうだね。見たことない植物とか素材、たくさん集まったよ」


シャウラ「私たちだけの力だけで生態系が崩れるってことは無いだろうし……採取とかは積極的にした方がいいでしょうね」


ローシェンナ「ミスト先生が喜びそうだね、薬草を持ってけば」


ライラック「目に浮かぶわ……」


スピカ「それじゃあ、基地に戻ろう」


〜調査隊基地〜

ファニエ「大きな倒木かぁ。切って……転がして……うーむ。燃やすと危ないよね」


シャウラ「木を直接燃やすとなると……少し怖いかも」


ファニエ「何とか切ったとしても、それを退かす方法が思い浮かばないな」

「いや、魔物のことも考えると切る時間も音も心配だ。ふむ」

「そうだな、少し考えてみるよ。今月のところはひとまず……」


ライラック「ええ、暗くならないうちに帰ります」


ファニエ「うん、お疲れ様。ヴァニラ殿にも相談してくれると助かるかも……」


ローシェンナ「わかりました」

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