第11話 全身焦らしくすぐり攻撃
息を必死で整えながら、ルナガールはティックルンを睨みつける。
「おや?まだ元気そうだな。よかったよかった」
ブワッとティックルンの背中から、さらに触手が生えてゆらゆらとゆらめいた。
「ひっ…」
さっきの数でくすぐられただけでも死ぬほど苦しかったのに、
あれだけの触手でくすぐられたら…
怯えるルナガールを何十本もの触手が取り囲んで、ゆっくりと蛇のように鎌首をもたげる。
「ほら、ここはさっき死ぬほど苦しんでいたよな?」
脇の下に触れない位置で一本の触手が蠢くと、それだけで「ひゃあっ!」と声が漏れる。
「そういえば耳もだめーって泣いてたなあ」
両耳のそばまで、左右から二本の触手が近づいて、焦らすようにゆらゆら揺れた。
「くうっふふふっ」
頭を動かせばすぐにでも触れてしまいそうな位置に触手がゆらめいて、隙間を掠める風ですら、ルナガールの耳をくすぐっているような気がして反応してしまう。
「足の裏は、土踏まずと、指の間」
足の裏へ、何本もの細い触手が待ち構えてミミズのように蠢く。
あの触手に一斉にくすぐられたら......ルナガールは想像しただけで背筋がぞくっとした。
「そうそう、おへそくすぐりも叫ぶくらい喜んでたよなあ」
お腹に数本、ふわふわした羽根が近寄ってくすぐるようにこしょこしょ動いた。
見ているだけで腹筋がピクピクと痙攣してしまう。
「あとは、ルナガールちゃんのだーいすきな太ももに、背中、」
一センチでも動けば羽根が触れてしまいそうな位置に、全ての羽根がセットされ、
それぞれが焦らすように怪しく揺れている。
「ふうっ…くう、くっくっくう!」
まだどこもくすぐられていないのに、肌のそばで蠢く無数の触手が見えてしまうだけで体がむずむずと疼いた。
そのゾクゾクとした感覚がたまらずルナガールは目をぎゅっと閉じる。
「おやおや、敵の目前で目を閉じるなんて…」
呆れたようにティックルンはため息をつくと、
つんっと背筋をつついた。
「ひゃあっ!」
背筋がのけぞって思わず目を開く。
すると、今度はお腹側の触手がさわ、と優しく触れて、
「あぁんっ!」とまた体が反対へ動いてしまう。
耳につつっと羽根が触れ、びくんっと震えると
今度は足の裏をちょん、とつついてくる。
体の動きを止めればくすぐられないのに、時折つん、と触られる刺激に、散々責められた体は過敏に反応してしまって、くすぐったさがどんどん増していく。
「ああっはっはははああん!」
これでは自分で自分をくすぐっているようなものだ。
ルナガールはなんとか冷静になろうと息を吐く。
頭では理解しているのに、彼女の体は言うことを聞いてくれない。
「ひゃあっ、くううっ…やああん」
「ほ~ら、こちょこちょこちょ…」
ティックルンに囁かれるだけで全身がむず痒くなってびくん、と反応してしまう。
「すっかりくすぐりが好きになってくれたみたいで嬉しいなあ、ルナガール」
涙目になってくすぐったさと戦いながら、
「好きじゃなっ…いいっ…やっ…」
もどかしいゾクゾクするようなくすぐったさがルナガールの精神を削っていく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます