【KAC妖精】
オカン🐷
ナナの妖精たん
「マナたん、ため。それおねーたんの」
「マーの、マーの」
「ナナの、ナナの」
キラキラの飾のついたタクトを綱引きのように引っ張り合っている。
「喧嘩しないの。どうしたの?」
「こえ、ナナの」
「マーの」
「ナナの」
また引っ張り合う二人。
「マナちゃん、それはお姉ちゃんのでしょ。『貸して』って言わなきゃだめでしょ」
引っ張り合いに負けたマナがしりもちを着いた。
「ウワ~ン」
「ああ、泣いちゃった。ナナたんもちょっと貸してあげて」
「マナたんもありゅのに」」
「ナナたんのが良く見えるんじゃない」
「もう、ちょうかないなあ。はい、とうそ」
マナはたちどころに機嫌がよくなり、タクトを抱き締めた。
「ヘヘヘ」
「マナたん、かえちてね」
「同じタクトならナナたんがマナたんの使えば」
「ため。ケントくん、くれたキラキラちーうはってう」
「シールね、そうか」
ルナはマナのを手に取りしげしげと眺めた。
息子のケントにエスコートされた梨沙子が壇上に上がった。
その後ろを白いドレスの女の子が3人続いた。
「あら、可愛らしいわ。妖精さんね。背中に羽までつけているわ」
「小さいほうの子は双子ちゃんかしら。そっくりね」
梨沙子が受け取った花束を2人で預かるはずだったが、マナは手にタクトを持っているためエナが一人で受け止めることになった。
結婚式のフラワーガール的役目なのだが、大きな花束はズルズルとエナの身体の上を滑り落ちていき、慌ててナナが抱えることになった。
「エナたん、ちょうじょう」
賞状を預かることは事前に訊いてないエナは戸惑った。
壇上はごたついたがケントが機転をきかし花束を預かり、ナナが賞状を預かり、梨沙子のトロフィー授与まで何とか漕ぎつけた。
「私、いよいよお迎えが近いのかと思ったよ」
「ママ、どうしたの?」
「最近、回りで妖精がチラチラして、あの子たちだったのね」
「いやだ、ママったら梨沙子さんのコンペの授賞式であの子たちがお手伝いするって言ったじゃないですか」
「そんなこと言ってた? やっぱりボケてきているのね」
最近、ばあばの元気がないと思ったらそういうことだったのね。
「ママ―」
涙をためたナナがルナに抱き着いてきた。
「たからタクトためいったのに」
【了】
【KAC妖精】 オカン🐷 @magarikado
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