情熱アイドル
にゃべ♪
夢を叶えるトリ
私の一族には代々伝えられてきた古文書があった。今となっては誰も読む事が出来ないその文字を解読して内容の通りにすると、一族の守護精霊である『トリ』が降臨して願いを叶えてくれるらしい。
「よーし! やったろーじゃん!」
私は様々な手段を駆使して何とか文字を解読。内容が分かっただけではまだ足りず、そこからまたさらに試行錯誤して、ついにトリの降臨を成功させた。
「よくボクを呼び出せたホ! 何でも願いを叶えてやるホ!」
「よし来たぁ! じゃあ私をアイドルの頂点にして!」
「お安い御用だホ!」
こうして、私はトリの力を借りてアイドルになった。デビューまではトントン拍子に進み、古文書の解読で費やした時間はそこでチャラになる。いやらしい芸能界の闇にも飲まれる事なく、トントン拍子でスターダムにのし上がっていく。
テレビやネットなどの露出も増え、次世代トップアイドルの筆頭とまで評価されるようになった。
「トリ、明日のスケジュールはどうなってる?」
「朝はダンスレッスン、それから雑誌の取材、昼からはバラエティのロケ……」
私はトリをマネージャーにしてアイカツをしていた。彼もまた敏腕のマネージャーっぷりを発揮して、人気も順調に上昇していく。
このまま一気にアイドルの頂点に立てると思っていたのだけれど――。
「キーッ! どうしてあの子には勝てないのー!」
そう、私達がどれだけ実績を積んでも、どうしても届かない存在が1人。それが孤高のトップアイドル『氷川 水穂』。彼女を追い落とそうとトリが様々な戦略を立ててくれたけれど、それでも水穂には後一歩及ばない。
「私の努力が足りないって言うの?」
「相手が悪いホ。あの子のバックには妖精王がついているホ」
トリいわく、水穂は妖精王の加護を受けているのだそうだ。その力はトリのそれを上回っていて、願望の成就力では相手の方が上らしい。
「で、でも努力すれば実力でその差は埋められるでしょ!」
「そうかもホだけど」
私は今まで以上に頑張った。トップに立つための努力を惜しまなかった。けれど、どうしても水穂には勝てなかった。王の名前は伊達じゃなかったね。
でも多くの人の記憶には残ったし、評価もされたから悔いはなかったよ。
情熱アイドル にゃべ♪ @nyabech2016
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