二十三時の告白

三十二歳の麻里子は、仕事に誠実で有能な編集者。父親の裏切りによる過去のトラウマから、プライベートでは感情を閉ざし、人との深い関係を避けて生きている。彼女が新しく担当することになった作家・高瀬陽一は、デビュー作でミステリー文学賞を受賞した三十四歳の才能ある作家だ。
初めての編集会議から、高瀬は麻里子に不思議な関心を示す。会議後にコーヒー豆をプレゼントしたり、彼女の好みを驚くほど理解していたり、病気のときに自宅まで来て看病したりと、彼の行動には謎めいた部分があった。麻里子は仕事と私生活を分けるという自らの原則を守りながらも、高瀬の誠実さと繊細な感性に次第に心を惹かれていく。
二人の関係が深まっていく中、高瀬の元婚約者を名乗る美しい女性・美咲が現れ、麻里子に高瀬には「隠された目的」があると告げた。…続きを読む