第5話聞いたことのある声

なんだここ、どこだここ。

目隠しされてるからなんもわかんねぇ。

あと、たぶん椅子に縛られてるし。


「おい、起きたか?」


俺を連れ去った男だと思われる男の野太い声が聞こえる。なんだか怒ってるようにも聞こえる。


「お前が起きるのに何時間待ったと思ってんだ、ちゃんと話して貰わないとな。」


何?なんの話してんの?意味わかんない…あ、もしや他にも人がいる的な?


「お前に言ってんだよ、先間!」


俺だった…


「あ、あのここどこですか…なんて…思ったり……」


「あ?ここはパリだよ。

にしてもここまでくるのに何十時間と寝てたんだからな?」


「おい、情報を与えるな。

再三ボスにも言われてたろ。」


今度は若い男性の声が聞こえる。


「えと、その…一体なぜ俺が?」


「は?お前が一番分かってるはずだろ。

白切ってんじゃねぇよ!!!」


若い男の方が俺を怒鳴る。双方ともガラが悪そうだ。

あとマジでわからん…


「はっ、まさか…み、身代金…?

や、やめてください!うち片親で…母さんも一生懸命俺を育ててくれて!俺まだ内定も取ってないし!バイトもめっちゃシフト入れてんのに……!」


「いや、ちげぇよ。」


若い男の呆れた声が返ってくる。

なんだか聞いたことがあるような声だ。


「はぁ、もう手っ取り早く拷問とかでよくねぇか?」


今度は野太い声が返ってくる。

痛いのは嫌だ…


「いやコイツには今後の利用価値がある。

とりあえず脅して情報を吐かせるぞ。」


若い声がそれを制する。


「え、えとあのなんでも言いますんで家に返してください!」


「言うだけじゃちょっと足んねぇかな。」


「実際にやってみて貰わないとな。」


「は?…え何を?」


「お前この期に及んでまだ隠し通せると思うなよ!!

お前の周りのバカどもは騙せても俺らは騙されねぇからな!!!」


また、若い声が俺を怒鳴る。

ますます、聞いたことのあるような気がするけど…やばい思い出せん。


「…だから何を?」


「〜〜〜〜〜」


「〜〜〜〜〜」


野太い声が何やら外国語で若い男と喋っているようだ。

この間に心当たりを探そう。

俺誰かから恨み買った覚えもないし、借金とかもしてないし、痴情のもつれ……なんて無いか…彼女さえ出来たことないのに、最近変わった事と言えば寝坊が多いのと、家にモナリザとレイダイがあったことくらい!

あっ。


「あのー、もしかしてなんですけど…いやもしかしてですよ?…最近家にモナリザがあったんですけど…それですかね………?」


『…………』


あれ違った?


『それだよバカ!!!!!』


双方に思いっきり怒鳴られた。


「なんだよやっぱりあってんじゃねぇーかビビらせやがって…」


野太い声がホッと安堵したような声を出す。


「だから言ったろ!

俺が間違えるわけねぇーんだ!」


若い声が野太い声に反論する。

話を聞く限り俺の取り違えを心配していたようだ。


「はいはいよかったですねー。

んな戯言言ってねぇでさっさと働きなグズども!!!」


奥から女の人らしき綺麗な声とヒールがコツコツとなっている。セリフは全然綺麗に聞こえないけど…


「す、すんません…」


「いや、ちげぇんだよエリル、コイツ全然自覚なくて…」


「それを吐かせるのがアンタの仕事だろ?

アタシだって暇じゃ無い、自分の仕事くらい自分でやったら?」


煽り口調で野太い声の人を捲し立てる美女(仮)

すると、ヒール音がコツコツとこちらに向かってくる。


「ごめんなさいねぇ、うるさくて。

ねぇあなたお宝たぁっくさん持ってるのよねぇ?」


アイスにチョコレートソースと蜂蜜とマシュマロを乗せたみたいな甘い声を出しながら問いかけてくる。

一体どこからこの声はが出てくるのだろうか…?


「え、えとお宝?は無いです…はい

……その…何が目的だったんですか?

あとせめて目隠しだけでも取って欲しいんですけど…」


「ああ、忘れてた。

ズバリ、お前最近話題の日本のニンジャだろ?」


野太い声が言う。


「えっと…」


ついに言われたか…何も覚えてないしとりあえず否定しとこ。


「その、違いま…」


「嘘つくんじゃねぇよ!

こちとら証拠も押さえてんだよ!!」


やっぱりどこかで聞いた覚えのある若い声が響く。

割と狭い部屋なのかもしれない。


「えっ!マジで!?見せて見せて!」


正直自分かどうか分からなかったから証拠があるなら嬉しい!


「は?お前今の自分の状況分かってんの?」


「え、いえ…あの、その………証拠があんなら出してみろよ!」


今のは某赤い蝶ネクタイの名探偵のアニメに出てくる犯人が窮地に立たされた時のテンプレ言い訳だ


俺がそう怒鳴ると2人の足音が遠のいてまた近づいてくる。


「〜〜〜」


「〜〜〜」


また外国語でなんか喋ってる。

すると衝立をされたらしく辺りが暗くなった。

まぁ目隠しされてるし暗いもクソもないけど目蓋の裏から漏れる光的なやつ。

後ろから目隠しを外されて目の前に画面が映る。


『はーっはっはっー!

俺最強ー!』


そこにはモナリザを持った俺がクルクル回っている。

画面の中から聞こえてくる酔った俺の意味わからん言葉今後酒飲んだあとに聞けば酒呑みが辞められるのではないかと思うほど恥ずい。


すると衝立を外されて目の前に超絶美女が現れる。


「アンタたちやればできるじゃない。

これでコイツがあのニンジャなことは確定となった。」


あの美人の声だ、やっぱり美女だった。

野太い声の人は屈強なスキンヘッドの男で、筋肉の筋がここからでも見えるくらい鍛えてることが分かる

はっ、として俺は慌てて周りを見た、聞いたことのある声が誰なのか。

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