第23話
梨花は、愛美が『援助交際』をやめた理由が解っていた。
だって、あんなこと続ける方がおかしい。
だから「一緒にやめよう」と言って欲しかった。
やめるときも誘って欲しかった。
なのに愛美は、梨花を見捨てるように自分だけ逃げた。
それが、ものすごく悔しくて、悲しかった。
もう自分は「抜け出せない」と解っていたから、余計に辛かった。
でも自分がどれほど「落ちぶれても」梨花は愛美に迷惑を掛けなかった。
会いに行ったり、脅したり、しなかった。
だから子供の野球場で再会したとき、梨花は、ただ、ただ、懐かしかった。
もし愛美が「久しぶり」「元気だった?」と笑ってくれたら、
あんなことになってない。
「なんでこうなったか、解ってる?」
いくら訊ねても愛美は解らない。本当に自分勝手なバカ女だ。
でも、本気で憎めない不思議なところがある。
それは……、ほんの少しの間だが、
梨花の楽しい思い出の中に、愛美の笑顔があるからだ。
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