第22話

「おはようございます」

裕司が出勤した。


「えっっ!」

愛美と梨花が、鼻血を流して取っ組み合っている。


「な、何をしているんですか!?」

梨花から手を放した愛美が、ニッコリ笑ってサッと髪を整えた。

鼻血が流れたままで「おはようございます」と言うと、フ~と気を失った。




愛美は、自分のベッドで目を覚ました。

頬が腫れている。

「え……?」


部屋に梨花がいる。梨花の頬も腫れている。


無言で見つめ合う愛美と梨花。


高校時代、無邪気にクレープを食べる二人を思い出す愛美。

梨花は、素朴で垢抜けない、でも可愛い女子高生だった。

愛美は、茶髪をカールさせた、短いスカートの女子高生だった。


「なんでこうなったか、解ってる?」

嫌がらせしながら、梨花が訊ねた言葉だ。


今なら解かる。

愛美が自己中心だったから。それに気付かなかったからだ。

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