ぐーたらもんすたー
名取ねむちゃん。
今まで会った子の中でも、一番元気がある子かもしれない。
初対面の人ともあんなに話せるなんてすごいな。
私もあんな風にもっと明るくなりたい。
そうすれば、見栄なんか張らなくったって生きていける。
絵をやめたのは、成績が下がったからじゃない。
もっと情けない理由。それを正直に言えなかった私に、絵を描く資格なんてあるのかな。
ねむちゃんは、ああ言ってくれたけど。
……でもなんとなく、本当のことを言っても描いた方がいいよって言ってくれるような気がする。
そんなことを考えながら家に帰ると、何回も見た靴が玄関に置いてあった。
……きょうはあんまり会いたくなかったな。
「ただいま」
「おかえり~。どこ行ってたの~?」
ソファーでぐったりしている
この無気力さは、いつもナマケモノが頭に浮かぶ。
「ちょっと参考書を見に行ってたの」
「そっか~。いいの見つかった?」
「うーん、あんまりいい感じのがなくてさ……」
「ぼくの貸そうか? たぶんわかりやすいと思うよ」
「いいの? ありがとう」
また私は嘘を重ねる。
せめて顔に出てないといいな。
たぶん彩乃にはお見通しだろうけど。
彩乃の様子がおかしかったら、私もすぐにわかっちゃうから。
……彩乃とは、幼稚園からの付き合いだ。
彩乃のお母さんが共働きで家を留守にしてることが多くて、隣同士で仲良しだった私の家で預かっていたからよく一緒に遊んでいた。
そのおかげで、そこらの家族よりも仲良しになった。
合鍵だって持っているくらいだ。
だらけている彩乃の体を起こして、ソファーに座る。
起こされた彩乃は重力に引きずられて私のふとももにしなだれてきた。
髪をすくと、にゅっと目を細めた。
そしておもむろに私のタイツとふとももの間に指を入れて、するりと生地を下ろした。
片足だけ脱がされたアンバランスさが、ちょっとむずがゆい。
「どうしていつも片足だけ脱がすの?」
「んー、趣があるから?」
趣かぁ。
彼女に対してこの言葉を使う人、はじめて見た。
こんなに長い付き合いでも、たまに彩乃が何を考えてるのかわからないときがある。
ぐったりしながら、彩乃は人とぜんぜん違うものを見ているんだと思う。
絵を描いていたとき、特にそれが作品に現れていた。
「ねえ」
「うん」
彩乃が私の制服のリボンを引っ張ると、私と彩乃の唇が重なった。
ぬるりと舌が入ってきて、彩乃の味を感じる。
本当に、彩乃はしてほしいときにしてくれる。
もう習慣みたいなものだから、お互いのタイミングはわかっていた。
「……めっちゃモックのポテトの味がするんだけど」
でもきょうはやめておいたほうがよかったかもしれないって、した後に想った。
「ごめん。急に食べたくなっちゃってさ……」
「ウソついちゃう悪い子には、おしおきね」
「ひゃっ!?」
起き上がった彩乃はソファーの背に私を押さえつけて、私の耳に噛みついた。
ぞわぞわしてくすぐったくて、彩乃の熱を流し込まれて……熱くなる。
あらがえずに捕食されていると、満足したのか私の胸にぼすっと顔をうずめた。
いつまでたっても、おしおきには慣れない。
「……ばくばくしてるね」
「あ、彩乃のせいだよ……っ!」
にやにやと笑う彩乃にそう言うと、私はソファーの座面に押し倒される。
「今のは、よくないなぁ」
ぺろりと、彩乃が舌なめずりをする。
スイッチを入れちゃうと、彩乃はけだものになってしまう。
家に来るときは、毎回そうなっている気がするけど。
彩乃の手が制服の下に入りこみ、脇腹を撫でてブラの下にすべりこんでくる。
「する前に脱がせて……この前、学校で思い出しちゃって大変だったんだよ……?」
「だーめ。思い出して」
私の胸がもみもみともまれて、耳に舌を入れられる。
頭の中まで彩乃に浸食されてる気分になって、おかしくなる。
私という存在に、彩乃が塗りたくられていく。
耳から彩乃が離れたと思ったら、つぎは二の腕が食べられる。
「もひもひ……」
「んっ……」
そこから、体のあちこちを食べられて彩乃を流し込まれてしまう。
私の体がどんどん火照っていく。
彩乃の荒い息遣いが遠くから聞こえる。
スカートがひざまで下げられて、ぱんつもずらされて。
私のいちばん奥まで、食べられてしまう。
「ひゃあっ!?」
ぴちゃぴちゃと、彩乃の舌が私の奥を味わう。
舌から流れてくる熱が、私の奥に溜まっていって。
溢れた私の喜びが、彩乃の口を汚した。
「んあ――っ!」
汚いはずのそれを、彩乃は一滴も残さないように舐めとった。
「おいしかったよ
「……いわなくていいって、いってるでしょ」
彩乃はまたぺろりと舌なめずりをした。
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