人妻確定演出きた~っ!
これ以上はママに頼れないな……。
怪しまれそうだし。
せっかくぴかぴかのねむになれたのに。
いや、ねむはもっとかわいくなれるってことがわかっただけでも大収穫か。
自分でメイクして、ぴかぴかのねむに変身できるようになれば、通りすがっただけでも寝取れるようになるはず。
よし!
メイクの勉強、頑張ろっと!
家だとママの監視があってできないから、モックでやろうかな。
ママには衝動的にポテトが食べたくなったって言い訳して家を出る。
着いたのは昼の4時くらいなのに人は並んでた。
この時間帯でも人っているんだな。
ポテトを言い訳にしてたらほんとにポテトが食べたくなってきちゃったから、Mサイズのポテトとバニラシェイクを頼むことにした。
どうしてモックのポテトって無性に食べたくなるんだろう。
なんか変なヤクでも入ってるんじゃないの?
外国人のおねーさんからポテトとシェイクの乗ったトレーを受け取って、すみっこの席に座る。
ママが追いかけてこないとも限らないし、出来るだけ目立たないようにしたい。
付いてきそうだったのをなんとか振り切ったから……。
怪しまれただろうけど、そこはポテトの中毒性がやばいってことで納得してほしい。
……個室でいられるカラオケとかの方がよかったかもしれない。
まあいっか。
ポテトうまいし。
辺りを警戒しつつ、メイクの動画を見ながらもりもりポテトをつまんでいると。
ねむよりも挙動不審になっている女の子がいた。
その子は、いかにもふつーって感じの子だった。
ストレートのミディアムヘアーに、あんまり短くない制服のスカート。
でも顔は可能性を秘めまくっていた。
今でもふつーにかわいいけど、メイクとかしたらそのふつーがぶっ飛ぶだろう。
なにかをノートに書きつつも、時折きょろきょろと周りを見渡している。
人妻かもしれない。
挙動不審な理由も気になるし、声をかけてみよう。
「ねえねえ、今なにしてるの?」
「ひゃっ!? え、えっと……」
突然声をかけられてびっくりしたのか、その子は言葉を詰まらせる。
その子が書いていたノートをちらっと見てみると、なんかのキャラのイラストが描かれていた。
ねむ中学んとき美術の評定2だったからわかんないけど、相当上手いんじゃないかな。
「イラスト描いてたんだ~? めっちゃ上手じゃん!」
「ほ、ほんと!? ありがとう……!」
その子は、はにかみながらも笑った。
ねむがセンスないだけだったら申し訳ないけど、センスなくてもわかるくらいの上手さとも言えるかもしれない。
「って急に話しかけられてびっくりさせちゃったよね。ごめんごめん。なんとなく気になって声かけちゃった」
何食わぬ顔でねむのトレーをその子の前に持っていく。
キャンパスノートにかぶさらないように。
「も、もしかしてナンパ……!? わ、私彼女いるからね……?」
はいビンゴ!
人妻確定演出きた~っ!
「いやいやそういうのじゃないよ。あたりをきょろきょろ見渡してたから、なにかあったのかなって」
「そ、それは、その……」
その子はそういわれると、目を泳がせて口ごもった。
まさか、チカんときみたいにメンヘラに追いかけ回されてるとか……?
いやもうメンヘラは勘弁して!
毎日寝落ち通話してたとき寝不足で頭おかしくなりそうだったし!
「よかったら、力になるよ? 大したことはできないかもだけど……相談できるだけでも違うと思うし。ねむはね、困ってる人のことほっとけないんだ」
「あっ、なにかがあったわけじゃないよ。ただ……」
よかった。メンヘラの線はなくなった。
「私に、絵を描いていい資格なんてあるのかなって」
「えっ」
絶対これなんかあったやつじゃん。
気になる気になる。
「なんでそう思ったの?」
「私のせいで、彩乃……彼女が筆を折っちゃったから」
「それは……辛いね」
確かにそれで自分だけ絵を描いてたら罪悪感を感じちゃうかもしれない。
ばったり彼女さんに会いでもしたら気まずいことこの上ない。
だから挙動不審だったのか。
詳しいことはわからないけど、なにかしら自分のせいだと思うようなところがあったんだろう。
「でも、あなたはまだ描きたいって思ってるんだよね?」
「それは……! そうなんだけど……でも私は! が、学校の成績が下がっちゃって、彼女よりも先に絵画教室を辞めさせられることになっちゃったの。そしたら彼女も辞めちゃって……あの子は、すごい絵を描ける子だったのに……」
あー、そういう感じか。
才能の芽を自分が摘んじゃったと思い込んでるな。
でも、そういう才能持ってる人って彼女がやめたくらいで一緒にやめるもんなのかな?
何食わぬ顔で続けてそうな気がするけど。
「楽しかったから、久しぶりに描いてみようかなって思っちゃったけど……やっぱり、気まぐれでもそんなことしちゃいけないよね……」
「うーん……ねむは、描いたほうがいいと思うな。だって、成績下がっちゃったのはしょうがないし。辞めるって決めたのもその子の決めたことだから、あなたに責任はないよ」
「でも……」
「自分が一生懸命できるものがあるんだったら、それは大事にしたほうがいいよ。集中できてなくてもこんだけ上手いってことは……それだけ頑張ってきたってことでしょ?」
「……っ!」
あと彼女さんにバレたときにNTRの隙ができるからばんばん描いてほしい。
ねむの言葉に、女の子はちょっと苦しそうな表情を浮かべて、決意した。
「……そうだね。私、描いてみる」
「いいね! そうこなくっちゃ!」
素直でいい子でちゅね~!
当たり引いたかも……♡
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