寝取らせちゃった♪

 いまりんとえっちの練習をするようになってから、一週間が経った。

 ねむが体を許してあげた効果は大きくて、いまりんが信用してくれてるのを感じる。


 いまりんのも、触らせてくれるようになったし。

 きょうもたっぷり可愛がってあげた。


 ゆで上がったいまりんを膝枕してあげながら、なでなでする。


「だいぶ慣れてきたね。そろそろ本番しちゃってもいいと思うよ」

「ほんと……!? これで、ずっと一緒にいられるんだ……!」


「ただ、これはラブラブな状態でやらないと意味ないかんね。その前にちゃんと仲直りしてよ~?」


「うん……」


 いまりんは真剣な表情で頷いたあと、不安そうに目を逸らした。


「仲直り、ちゃんとできるかな……」

「やっぱり、不安だよね」


 割と修復不可能な気もするけど、相手はチカだ。

 たぶん押せばなんとかなるだろう。


 でも、それじゃ長続きしない。


「チカがあんなこと言ったのは、いまりんがチカの気持ちを受け止めてあげられなかったからだと思うよ」


「それはわかってるの。でも……やっぱり、チカが他の人といると不安でしょうがないの。わたしに魅力がないのは、わたしが一番よく知ってるから」


「そんなことない」


 いまりんの手を強く握って、断言する。


「ねむは、いまりんのいいところ、たくさん知ってるよ。素直でかわいいところとか、こうやって練習を頑張れるところとか、不安になっちゃうくらい人を好きになれるところとか……ねむはいまりんのそういうとこ、好きだよ」


「ねむ……」


「不安になっちゃう気持ちもわかる。でも、いまりんには自信をもってほしい。こんなにいいところがあるんだから」


 ねむがそう言うと、いまりんはがばっと抱き着いてきた。


「……ありがとう。わたし、そんな風に言われたのはじめて」

「みんな見る目ないんだよ。ねむだけは、ちゃーんと知ってるからね?」


 いまりんのきめ細かな背中に、腕を回す。

 今まで、なにも自分を支えるものがなかったんだろう。


 やっと、見つけられたね。

 これでいまりんはもう、依存することはないだろう。


 自分の足で、立てるから。



 三日後。


「な、なんでここがわかったの……!?」

「ごめんチカ。ねむが呼んだの」


 いまりんとチカをカラオケボックスで引き合わせると、チカはなにかの組織にでも追われていた人みたいな反応をした。


 チカはいまりんのMAINをブロックしてたから、仲直りしてもらうにはこうするしかなかった。


「まさかねむっち、また脅されて……」

「違うよ」


 怯えるチカの手をぎゅっと握る。


「いまりんがねむたちにヤバいことをしてくることはないから、そこは信じてほしい。ちょっとだけ、いまりんに時間をくれないかな」


「で、でも……」


 今にも逃げだしそうなチカに、いまりんは頭を下げる。


「チカ、ごめんなさい。わたし、チカに拒絶されて当然のことをしちゃったと思う。本当に、ごめんなさい……」


「……今まで、わたしの話ぜんぜん聞いてくれなかったじゃん。なのに今さら言われても、信じられるわけないでしょ」


 チカはいまりんと目を合わせようともしていない。

 無理もないよね。今までがひどすぎたし。


 いまりんは罪悪感に押しつぶされそうな顔をしながらも、言葉を紡ぐ。


「うん……確かに今までのわたしはそうだった……本当にごめんなさい。でも、今は違う……」


 いまりんはねむの手を取って、芯のこもったまなざしを向ける。


「ねむのおかげで、わたし、自信を持てたから」

「……えっ?」


 チカは目を見開いて、いまりんを見る。

 そりゃ、驚くよね。


 あんだけチカに依存してた子が、今やねむと仲良しだ。

 カラダの関係まであるのは置いといて。


「あんなことしなくたって、わたしは……チカに好きになってもらえるわたしになれる。ねむに、それを教えてもらったの」


「ほ、本当なの……!?」

「うん。いまりんは、チカのためにすっごく頑張ったんだよ?」


 これは本当だ。

 えっちしてただけだけど嘘は言ってない。


「もう、チカがいないとダメなわたしじゃない。チカといっしょに、歩いていけるわたしになれた。だからお願い。もう一度、わたしと付き合ってほしい。今まで迷惑をかけちゃったぶん、楽しませてみせるから……!」


 いまりんは、ばっと力強く右手を差し出す。

 その手をチカは……両手でそっと包み込んだ。


「……わかった。もう一度だけ、信じるからね」

「……ありがとう! ぜったい後悔はさせないから!」


 ぎゅうっと、チカに抱き着くいまりん。

 チカもそれに応えるように腕を回す。


「あはは……ちょっと苦しいよ……」

「ご、ごめん!」


「……ほんとに、変わったね。いまりん」


 慌てて離れるいまりんに、チカは子供の成長を感じたママみたいな顔をした。

 そして、いまりんがねむに向かって言う。


「ありがとう、ねむ……おかげでやっとわたしたち、再スタートできたよ」

「どーいたしまして。でも、頑張ったのはいまりんだかんね」


 いまりんは柔らかな笑みを浮かべる。

 こんな顔もできるようになっちゃって……。


 ぜーんぶねむのおかげなんですけどね!

 これでようやく、こいつらが人妻に戻った!


 寝取らせ大成功!

 さぁ……本番はここからだ。











  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る