いえ~い! 彼女さんみてる~?

 撫子に告られた次の日。

 ねむはまた撫子の部屋に来ていた。


「ねむさんの方からお誘いをいただけるなんて……嬉しいです」

「べ~つ~に~? ムラムラしただけだし。ていうか、遊びには誘ってたじゃん」


「いえ……えっちは、特別ですから」

「あっそ。じゃあとっととヤろ」


「照れてるねむさんもかわいいですよ」

「うっせえばーか」


 ねむは撫子を押し倒して、とろっとろにする。

 よし、これだけやっとけばいいよね。


「撫子、ちょっとスマホかして~?」

「ひゃ、ひゃい……」


 スマホのロックを解除してもらい、MAINを開く。 

 交換してる人が少ないから、すぐに見つかった。


 撫子の彼女……桃香さんのアイコンが。


「んじゃ……教えてあげよっと!」


 ビデオ通話をかけると、桃香さんはすぐに出てくれた。


『もしもし! 撫子、ひさしぶり~!』


 桃香さん、ちょー嬉しそ~!

 ねむは即座に堕ちきった撫子をカメラに映して、言ってやった。


「いえ~い! 彼女さんみてる~?」

『えっ……!?』


 1回言ってみたかったんだよねぇ、このセリフ。

 桃香さんの顔が一瞬で曇る。


「あんたのだぁいすきな撫子ちゃんだけど~、ねむがぐちゃぐちゃにしちゃったの~! ごめんねぇ~!」


『こ、これどういうこと!? ちょっと撫子!?』

「も、ももか、ひゃん……?」


「まだ壊れてなかったんだ。えい」

「ん゛お゛っ゛……!」


『ひ、ひどい……!』


 撫子の穴に指をぶち込んで黙らせてから、とびきりの笑顔で桃香さんに言う。


「はやく来ないと、撫子が二度と戻れなくなっちゃうかもよ? そういうことだから、せいぜい急いでね~!」


『待っ……』


 通話を切って撫子を振り返ると、魂の抜けた目でねむを見上げていた。

 今なにが起きたかわかってないみたい。


 適当に撫子をいじって待っていると、ふすまがばん! と開けられる。

 桃香さんが息を切らしながら登場~! 思ってたより早かったね!


「撫子……!? 来たよ……!」

「あ、桃香さんやっほ~! 撫子はここにいるよ~! ほら」


 撫子の股をぱかっと開いて見せてあげると、桃香さんは目を見開いて叫んだ。


「あなた、誰なの……っ!?」

「んー、撫子の……セフレ……?」


「ふざけないで! 撫子がそんな関係つくるわけないもん!」

「こ~んなところで大声出しちゃダメだよ~? 大メーワクじゃん?」


 桃香さんの剣幕に、さすがの撫子も気が付いて起き上がる。

 さて……修羅場の幕が切って落とされたにゃあ。


「桃香さん……!? どうして、ここに……!?」

「ねむが呼んであげたんだよ。教えてあげようと思ってさ……」


 ねむは撫子の蜜腺をわしづかみにした。

 びくんと撫子の体に刺激が走る。


「撫子のほんとのすがた♡」

「んっ……!」


 撫子の穴に指を入れて、くちゅくちゅとかき混ぜる。


「あっ……や、やめっ……」


「えっちな声でしょ? 頭とけちゃいそう」

「あなた……! 人の彼女になんてこと……っ!」


 桃香さんがねむに向かってきた。

 処女のくせにナマイキなんだけど。


 ねむは桃香さんの口に指を突っ込んで黙らせた。


「そんな怒んないでよ。撫子のミツあげるから落ち着いて?」

「んんっ……! いい加減にしてよ! 撫子は……っ!」


 今にも泣きそうな桃香さん。

 その顔が見たかったんだよねぇ!


 ねむは撫子のそばに近寄って囁く。


「ほら、撫子。こういうとき、なんて言えばいいのかな~?」

「もも、か……っ」


 撫子はねむに耳を舐められながら、言った。


「ごめん、なさい……っ! わたし、ねむさんと……いっぱいえっちしちゃった……」


「――っ!」


 声にならない声を上げる桃香さん。

 やった! 死体蹴りしよっと!


「だってさ! ねえ……謝ったんだから、許してくれるよねぇ?」


 ねむは床にへたりと座り込む桃香さんの顔を覗き込む。

 うーん……いい顔してる。この娘も寝取ってあげればよかったなぁ。


「なんで……? なんで……?」


「なんでって……決まってるじゃん。撫子はずっとガマンしてたんだよ? 処女くせーあんたのために一生懸命せいそ演じてさぁ……そこに天使みたいなねむが来ちゃったら、そりゃこうなるでしょ」


「いやっ……嘘だよね!? 撫子は、もっと……おしとやかで……」

「へぇ……そういうこと言っちゃうんだ。まじで上っ面しか見てないじゃん。そんなんでよく彼女名乗れたね?」


 撫子の顔をぐいっと桃香さんに向ける。


「言ってあげたら? 撫子の、ほんとの気持ちをさ?」

「………」


 撫子は一瞬ためらってから、ちょっとずつ語り始める。

 ずっと言えなかったことを。


「桃香さんは……っ、私のことを本当に尊敬してくれて……好きでいてくれました。だからこそ、怖かった……こんな私を見せることが」


「うそ……」


「ずっと、いつか伝えようって思ってたんです。上品な私も、下品な私も本当の私だから……あなたを裏切って、こんな形で伝えることになってしまって、ごめんなさい」


「撫子……!? そんなこと言わないでよ! そいつに変なことされたんでしょ!? だから……そうなっちゃったんだよね!?」


「っ!?」


 桃香さんの言葉に、撫子は言葉を失った。

 まじでため息しか出ないんだけど。


「バカじゃないの? ねむが撫子と会う前から、撫子はエロ本買ってたよ?」


「じゃあ、本当に……!?」

「そんなに信じたくないの? ひどいなぁ。えっちに興味があることのなにがいけないのさ」


 桃香さんが撫子に向ける視線は、汚い物を見るときのそれだった。

 そんなだから、寝取られるんだよ?


「撫子。まだ、言いたいことある?」


「……桃香さん」

「な、なに……!?」


 身構える桃香さんに、撫子は切腹する前の武士みたいな表情で言った。


「私のことはどれだけお嫌いになっても構いません。嫌われて当然の行為を私はしてしまいましたから。ですが、私の好きなものに、エロに罪はありません。そこだけは、どうか……」


「……もういやあっ!」


 桃香さんは涙目で部屋を飛び出していった。

 おっぱいめっちゃ揺れてた……一回ぐらい揉んどきたかったな~。


「あーあ。行っちゃったね。撫子があんなこと言うからだよ?」

「……住む世界が、違ったんでしょう。ねむさん、慰めてください」


 そう言って、とびきりの蕩けた笑顔を見せる撫子。


「あは……撫子、さいってー!」


 やっぱこいつ、おもしれー女だわ。


「じゃあ、今からたのしいことしよっか」

「はい!」


 撫子は犬みたいに息を荒くして、寝転がった。

 ねむはお腹をなぞって、つぼみに指を――。


「やっぱやーめた」


 入れなかった。


「えっ……?」

「ごっめーん。ねむ、もう撫子に飽きちゃった。ばいばーい!」


 スキップしながら部屋を出ていこうとすると、撫子がすがりついてきた。

 うわだる。


「待ってください! どうして急に……私の気持ちは、お伝えしましたよね!?」

「うざ」


「きゃっ!?」


 邪魔だから蹴り飛ばした。

 それでもカエルみたいにすぐひっついてくる。


「あー。そういえば返事、してなかったね。ごめんなさい! ねむ、すぐ浮気しちゃうような子は嫌なんです~!」


「……はあ!? 先に誘惑してきたのはねむさんでしょう!? よくそんなこと言えますね!?」


「でもそれに乗っちゃったのは撫子だよねぇ?」

「……っ!」


 はい論破。

 撫子は言葉を詰まらせる。


「じゃ、そういうことで。これからはひとりでなでなで頑張ってねぇ~? きゃはははははははっ!」


「~~~っ!」


 撫子は体を畳に伏せて拳を握り締める。

 その光景を目に焼き付けながら、今度こそねむはスキップしながら部屋を出ていった。


 ねむ、一生忘れないよ。

 桃香さんの飼い犬を失った顔も、撫子の捨てられた子犬みたいな顔も。


 ねむが、完全に引き裂いてやったんだ!

 ねむにも、寝取れたんだ!


 最っ高の気分!

 面白すぎてお腹がよじれそう!


 ……あと何回これを続ければ、玲奈を手に入れられるんだろう。

 まだ、ねむは最初の一歩を踏み出しただけだ。


 こんなので終わるつもりはない。

 もっとたくさん寝取って寝取って寝取りまくってやる!


 待っててね、玲奈。

 待ってろよ、クソブス共!









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