お股なでなで睦撫子でーす!

「つかれた~!」


 撫子とのえっちを乗り切ったねむは家のベッドでゴロゴロする。


 あいつどんだけ性欲強いんだよ!

 10回くらいイかせた気がするんだけど。


 それにしても、はじめてだったのに意外と抱けたな……。

 もしかしたら才能あるのかも。


 撫子が感じすぎなのもあるかもだけど。

 ……あんなん誰でも落とせるんじゃないの?


 ま、最初の経験値稼ぎとしては悪くないのかも。

 RPGで言うところのスライムみたいな。


 撫子からMAINがきた。

 なんだろうと思ってみてみたら、きょうのお礼だった。


「またお願いします……か。あは」


 完璧に堕ちちゃってんね。

 かわい。


 まず、体は堕とせた。

 次は……心をどう堕とすかだな……。


 ここからが本当のNTRだ。

 がんばろっと。

 あんなに気持ちのいいことははじめてでした。


 快楽の波に押し流されて、喘げば喘ぐほど溺れていって……。

 桃香さんという人がありながら、私はもうねむさんとのえっちが忘れられなくなってしまいました。


 私はなんて、不義理な人間なのでしょうか。

 自分の性欲を抑えられずに、あんなことを……。


 ねむさんのおっしゃる通り、桃香さんに毒牙をかけることは防げたと思います。


 今私は、完全に満足していますから。

 だからといって、裏切っていい理由にはならないはずです。


 しかも……背徳感でさらに気持ちよく感じてしまうなんて……。

 どうしようもない、変態だと思います。


 自分が、本当に許せません。

 それなのに私は、またねむさんにお願いしてしまいました。


 最低です。

 これ以上、桃香さんを裏切るなんて……。


 でも、我慢できません。

 自分で何回しても、どうやってもあの快感には遠く及びませんでした。


「やっほ~」

「……ど、どうも」


「そんな申し訳なさそうな顔しないの! ねむがやりたくてやってるんだから、ね?」

「……はい」


 私のおぱんつはねむさんと会っただけでぐちょぐちょに濡れてしまいました。

 ほんの2日前なのに恋しくて恋しくてたまらなかったのです。


 ねむさんの指が、私の秘部に迫ります。

 犬のようにはっはっと鳴いて気持ち良くなることしか考えられなくなります。


 ああっ! きたっ! きたきたきたきたきたっ!

 これが、これが欲しかったのっ!


「ほ~ら、な~でな~で」

「あんっ! いっ! ひゃあっ!?」


 そこ、だめなのっ! 

 よわよわだからぁ……! らめぇ……っ!


「ここがよわよわなの、知ってるからね? 逃げられるなんて思わないでよ?」


「あっ……い、いやぁっ……おかしく、なりゅ……」

「おかしくなっちゃっていいんだよ? 撫子は、ヘンタイなんだからさ」


 弱いところを執拗に攻められて、私は果ててしまいました。

 ねむさん、この前よりも巧くなってる……。


 私のことを理解してくれて、そっと手を引くように絶頂へと導いてきます。

 こんなこと、駄目なのに……もっとのめり込んでしまいます。


 だんだん、桃香さんと会う頻度よりもねむさんと会う頻度の方が増えていきました。


 最近では、ほぼ毎日ねむさんと顔を合わせているような気がします。

 ねむさんとえっちできない日は、ねむさんとえっちすることしか考えられなくなるからです。


 そんな救いようがない私でしたが、とうとう……無様な自分の姿を見せつけられる機会が訪れました。


 ねむさんが、えっちの動画を撮ろうとおっしゃったのです。


「はーい、それじゃ自己紹介してね~?」

「お股なでなで睦撫子でーす! はやぐ、はやぐえっちしてぇ……!」


「うんいいよ♡」

「お゛ほ゛っ゛!゛」


 画面の中の私は、もはや人間ではありませんでした。

 みだらなケダモノと化した私が、下品に喘いでいます。


「これが、私……!?」

「こんなの、彼女さんにはぜったい見せられないね♡」


 ねむさんがくすくすと笑います。

 こんな私を、私だと信じたくありませんでした。


「わ、わたしは……っ! どこまで桃香さんを裏切れば……っ! どうして……わたしはエロと出会ってしまったんですか……っ!?」


「…………」


 罪悪感に耐え切れず涙を流す私を、ねむさんはそっと抱き締めました。


「撫子、自分を否定しないで。ねむは、オホってる撫子好きだよ?」

「でも、皆さんはこんな私を見たら確実に幻滅しますっ! 私だって、こんな私、見てられない……っ!」


「ねむの話聞いてる!? ねむは、どんなに撫子がドスケベでも嫌いになんてならないって、何回も言ってるじゃん! ねむはドスケベな撫子といるの、すっごく楽しいよ!? なのになんで……撫子が撫子を嫌いになっちゃうの?」


「ねむさん……」


 私の目をまっすぐに見て、ねむさんは言いました。


「みんなが撫子を嫌いになっても、ねむは撫子のこと好きだって、堂々と言ったげる。だから、撫子もほんとうの撫子のこと、好きでいたげてよ……」


 ねむさんの言葉が、私の胸に届いて。

 私の中に、新しい気持ちが芽生えました。


「ねむさん」

「……なに」


「お顔を、こちらに」

「え?」


 私はねむさんにそっと口づけをしました。

 こんな私を好きでいてくれるこの人が、たまらなく愛おしくなってしまったのです。


 桃香さんを本当の意味で裏切ったのはこのときだったのかもしれません。


「いきなりなにしてんのさ!? バカじゃないの!?」

「……すみません。つい……」


「ついじゃないんだけど!?」


 あたふたと戸惑うねむさん。

 普段は余裕そうな彼女の、こういうところもかわいらしいと思います。


「ねむさん」

「な、なに……?」


「好きです」


 芽生えた想いをねむさんに伝えました。

 するとねむさんはほっぺを赤らめて声を上げました。


「ちょっ……あんたね! 彼女さんがいるんじゃないの!?」

「はい。でも私は、本当の私を受け入れてくれたねむさんが好きです」


「自分がなに言ってるかわかってる……?」

「ええ。不義理なのは承知しています。でも、好きなんです」


「……あっそ。ま、ねむはかわいいからしょうがないか~」


 ねむさんは少し調子を取り戻して言いました。


「じゃあ、二股しちゃう?」


「いえ、それはねむさんにも桃香さんにも不義理ですから。桃香さんには私からきちんとお伝えします」


「ふーん……ちょっとは、ほんとうの撫子を好きになれた?」

「はい」


「そっか」


 私の返事に、ねむさんはにいっと笑いました。


 この選択をしたのは、不誠実だという人の方が多いでしょう。


 ですが、この選択をしたのは本当の私だと……胸を張って言えます。

 はじめて私は、自分を愛せたのではないでしょうか。











「……あはっ」

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