第11話 4話(2)
「すみませんシスター。せっかく用意してくれたのに手助けするようなことをしてしまって」
「いえいえ。人間、最初から何もかもうまくいくわけではありませんからね。ひとまず今回はこんなところでしょうか。ローデンは察しがついているかもしれませんローデンの力は自身の出血量に応じて能力を強化するもので、自分の血を武器等につけることでその量に応じて武器等の強化も出来ると言った感じでしょうか」
「おそらくはそうだと思います。シスターから借りたナイフがビッグリーのあのデカい腕を吹き飛ばせるほどの力を宿しているようには見えないので」
相変わらず少しの戦いで全てを察知するシスターの洞察力は本当に恐ろしいものである。シスターと一緒に行動している限りは下手な嘘をつけば間違いなくバレるだろう。
少しばかり話が途切れた後、シスターは初めての実戦経験を終えた俺をじっくりと見ながら何か考え事を行う。
そしてそれ程の時を絶たずに、聖母のような優しい笑顔で改めて口を開いた。
「ローデン。今回は結果的に失敗したという結果かもしれませんが、落ち込む必要はありませんよ。人間は成功と失敗を繰り返して初めて成長を刻むことが出来ます。過去に成功しか経験してこなかった人間は遅かれ早かれ大きな過ちを犯します。大事なのは失敗した後にその反省を自分にどう活かすかです。そして、ローデンにはそれがしっかりと実行できると私は思っています。ローデンの能力についてはまだもうしばらくは森の中を歩くのでそこで能力を使っていきながら慣れていきましょう。そこで使い方等のサポートもしていくので」
「わ、わかりました! ありがとうございます! シスター!」
「それじゃあ行きましょうか。ベルラティアへ」
ビッグリーを撃破した後、改めて馬車の置いてある所へと進み始めた。
その後、俺はシスターに弱い魔物などを相手に力の使い方を教えてもらいながら順調に進んでいた。シスターの教え方は丁寧でわかりやすく、最初はほとんど理解できていなかった自分の混血の使い方にもほんの少しではあるが慣れつつあった。
そして、用意された場所に乗り、途中途中で休憩をはさみながら、吸血族がいるとされるベルラティア王国へと到着したのである。
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