怪異にあこがれて
あげあげぱん
第1話
ずっと昔、子どものころから僕は怪異に憧れていた。でも、怪異になりたかったわけじゃない。僕は怪異に会ってみたかったんだ。怖いお話に出てくる幽霊や怪物がどんなことを考えているのか実際に会って聞いてみたかったんだ。
僕はそういうものが出そうな場所を若いころから積極的に訪ねた。事故現場とか廃墟とか、親や友人が亡くなれば、喜んで駆けつけた。でも、どれだけ探しても、僕が怪異に出会うことはなかった。どこへ行ってもただの人間ばかり。面白くない。
今日は親戚の子の葬式へやって来た。でも望み薄だろう。きっと僕が怪異に出会うことは無い。これからも無いだろう。僕のような霊能力も、超能力も無い人間は、怪異に出会うことができないのだろう。その点、親戚のあの子には霊能力があったらしい。羨ましい……いや、恨めしい。そんなことを考えているうちに彼は原因不明の衰弱により亡くなってしまった。ざまぁみろ。
葬儀の場で、親戚たちに挨拶したが、誰も返事をしてくれなかった。そりゃ、僕は親族や友人の死を喜ぶような、ちょっと変わったところはあるけれど、無視をするのは酷いじゃないか。僕は憤慨しながら一人で席に着いた。
もしかしたら、霊能力があったらしい彼が、幽霊になって出てくるかもと思った。でも、彼が幽霊になって出てくることはなかった。いつか聞いた話だけど、この世に現れる幽霊というものは、この世に未練を残しているらしい。なら、僕は死ねばきっと幽霊になれるだろうな。この世に未練を残しているからね。とはいえ、自殺しようとは思わない。僕は怪異に会って話がしたいだけであって、怪異になりたいわけではないのだ。
葬儀の間中、不思議なことに、僕の回りには誰も座ろうとしなかった。そこまで嫌われているのは、少しショックだけど、別に良いさ。僕はただの人間には興味なんて無い。ただ、妙なのは部屋の暖房が効いているのに、ここへ来ている人間がしきりに寒がっていたことだ。寒くなんか、ないのにねぇ?
結局、怪異と出会うことはできなかった。親戚の子が化けて出てくる以外にも、期待していた噂があったのだが、結局なにも起きなかった。
僕はため息をつきながら、その噂を思い返す。
心霊スポットや、事故現場、葬儀場などに、顔の歪んだ男がやって来るそうだ。その怪異は周囲に冷気を振り撒くから、近くにいればすぐに分かるらしい。その怪異に近づいてはいけない。そいつを見ていると気づかれれば、そいつは楽しそうに歪んだ顔を向けながら、君が死ぬまで追いかけ回す。そして君が死んだ後も、そいつは君の死に顔を覗くためにやって来るのだ。楽しそうに歪んだ顔で。
怪異にあこがれて あげあげぱん @ageage2023
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