多分好きなんだと思う
第34話
表紙撮影の一時間前。私は真っ青。和泉くんは焦りに焦りすぎて、口から心臓が出てきそうな形相だ。
……これはどうしたことか。
撮影前、化粧品メーカーのプレス担当者さんが来た。
普段だったら二時間前に来るので、和泉くんは被らないようにしている。……和泉くんは、こういう外部の人が苦手なのだ。好意的な人はたまにいる。でもそこには必ず、和泉くん特有の杞憂が発動する。
和泉くんと以前から私生活で親交のある人伝いではない限り、和泉くんはこういう仕事を引き受けない。
今まで引き受けたのも、両手で足りる数。それでも、その広告効果は計り知れないと言われている。
「……ねぇ、どうしよう」
「………うーん」
これは、困った。
以前、とある女性のプレス担当者さんが訪問した際に、和泉くんがその人にホテルへ誘われたことがあり、それ以来和泉くんは親交のないプレス担当者さんが苦手になった。
それでも、その女性のプレス担当者さんの悪評を知っている人がほとんどなので、誰も和泉くんを嫌わないでいてくれている。なのでパーティには一応行こうと思えたところだけ、顔を出しているのだ。
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