第27話

ーー水曜日、表紙撮影の前日。


私と和泉くんは、「amber」編集部のデスクにいた。




「無理無理無理無理!!」


「そんなこと言ってないで、ほら読んでみてよ」




落ち着いて、落ち着いて、と宥める堀田さん。そしてその前で言い合う私と和泉くん。



インタビューの原稿確認に来てほしい、とのことだったので、今回は和泉くんに読んでもらうべく。


私は、原稿確認とは言わず、編集部に行こう、と連れ出したのだ。




「やだよ!!絶対変なこと言ってるんでしょ!!そういうの読みたくないよー浅葱さんが読んでくれればいいから」


「前回も前々回もそれで通したから、今回は読んで!和泉くん、雑誌の自分読んだことないでしょーが!!」


「俺にそんなことは向いてないの!!わかる!?」


「なんで読まなくても変なこと言ってるとかいう自信があるのかなあ!?おおん!?」


「ひっ」



言ったら編集部にすら来ない。だったら現場で明かしてしまいましょう、という作戦だ。


二度と使えなそうなので、また今度はそれなりに理由をつくることにする。



脅しが効いたのか、和泉くんは6枚ある特集ページのゲラのうち、3、4枚目に目を通した。


撮影のページは見ないのか、と思いながらも、進歩したな、と軽く感動する。

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