第22話
「いっ、和泉くんはね……」
動揺しながら、まだ来ていない彼の席の方に視線をやると、なんの因果か彼が突然登校してきた。
今日はいつもと違って、寝癖がない。というよりも、髪の毛がめっちゃくちゃさらさらしていて、髪の毛がストレートになっている。普段ならある程度寝癖があるので、すごく違和感がある。
「あ、噂をすれば。おはよー、和泉」
いつもと同じ挨拶だけど、なんてことをするんだ折木、と固まる。どうしよう、私なにを言えばいいんだろう。……おはよう?寝癖がないね?ストレートでさらさらしてるね?
……なにこれ、いつもだったらなんて言ってるっけ。
「浅葱さん、おはよう」
「……おはよ」
そんな会話をして、彼は席に向かった。
なんだか様子がおかしい私たちに、折木が切り込む。
「なに、なんかあったわけ?」
「……うーん」
「あ、キスでもしたの!」
「!!!」
言い当てられた瞬間、椅子ごと引き下がり、後ろへ倒れてしまった。
ガターン、とけたたましい音を立てて倒れたものだから、当然私のほうにクラスメイトの視線がくる。
「ごめん、なんでもない……」
「浅葱どうしたんだよそんな真っ赤な顔して」
「なんでもない…」
クラスメイトに心配されたが何事もなかったかのように、私は折木との会話に戻った。
和泉くんがこちらに視線を向けていたことももちろんわかっていたけれど、そこには反応を示さず。折木からのリアクションに私は慌てて「しーっ!」と両手で折木の口を塞いだ。
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