「コウってさ、元々あんなにいろいろ心配事を真っ先に考える人だったのかなーって時々気になるんだよね」

「……え、」

考えもしなかった。その視点があったのか、と。

和泉くんと知り合った時にはもう既にあの性格だったから。

「あ、あと撮影、菜奈ちゃんも同席するのは決定だからね」

「え、いいの？」

「コウが無茶言ったんだよ、インタビュー不安なんだってさ」

「……なんじゃそりゃ」

「身体の異常は大丈夫なんだってさ、お母さん曰く」

「……へー」

……あれ、でも。撮影は有馬くんも一緒だから有馬くんがいれば……。

「コウの不安解消を出来るのは、俺よりも菜奈ちゃんなんだってさ」

妬けちゃうよね。

それじゃ、このあと俺用事あるから。またね、菜奈ちゃん。

有馬くんがそう言って出て行くと、全身の力が抜けたように横になり、ずるずると掛け布団の中に沈む。

……和泉くんって本当、無自覚人たらしというか……。

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