第10話

次の仕事に行くと和泉くんが退出した後、お母さんも仕事で呼ばれたので心配そうな表情をしつつ、慌てて去っていった。


二人だけになったところで、私は疑問をぶつける。



「和泉くん、なんかあったの?」


その問いに、有馬くんは眉を顰めながら首を傾げた。



「なんかあった……って言われても、俺も知らないんだよね」


「…そっか。有馬くんはなんで呼ばれたの?」


「ただ単に不安だったんじゃないのかな、菜奈ちゃんがいきなり倒れちゃうんだもん。俺だってびっくりだよ?」


「……ごめん」


申し訳なく思い俯いていると、有馬くんがそういえば、と切り出す。

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