第8話

目次で適当に目星をつけてパラパラと読んでいると、ふと嫌いな顔が目に入り、雑誌を閉じる。


「(ーー危なかった)」


あいつを見るところだった。


数人のモデルが参加している特集ページだったのか、と油断していた自分を後悔した。








今でも鮮明に覚えている。あの時の記憶が戻ってきそうになって、思わず吐き気が込み上げてきて、口元を抑える。



なんで今でも無理なんだろ、

もう二年経つのに、いやまだ二年?、


あんな男、早く忘れたい、消えて、


気持ち悪いーー。





「……え、浅葱さん?」



聞き慣れた声を聞いた瞬間。安心したのか全身の力が抜けて、私は目の前の床に倒れ込む。



遠慮がちに揺さぶる彼が、切羽詰まった声で浅葱さん、と叫んだのを聞いて、私は意識を手放した。

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