第4話

杞憂が多いのもあるが、一番は顔面だ。

なんだかんだ言っても和泉くんは顔面がいい。ついでにスタイルもいい。

顔面が良ければ、当然女子からモテる。人気になる。


そういう意味での、「気疲れしそう」。




「和泉くんさ、本当顔面だけいいよね」


「……貶してるの」


「あ、勿論スタイルもいいんだけどさあ」


ええ、なにその取って付けたような褒め言葉。と引きつった表情を浮かべる。



「内面がダメダメって?」


「うん」


「……で、それがどうかしたの」


「いや、何と無く思っただけ」


何と無く、彼を眺めていると思い出すことがある。



……なんだっけ。





ーーそれからの一週間はあっという間に過ぎ、撮影前日が訪れた。


バタバタと人が行き交い、編集部の池田さんの指示が響き渡るスタジオで、私もブランド側から指定された服の搬入作業に追われていた。


そこに、とあるモデルがやってきた。



「やっほー、菜奈ちゃん」



呼ばれて声があった方に顔を上げると、見知った顔が間近にあって私は驚く。

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