第5話

「え? あれ、どうして有馬くんが……」


入り時間は2時間後のはずだ。


「久しぶりにコウと一緒だからね〜。なんだかうずうずしちゃってさ、もう来ちゃった」


「来ちゃった、って。……まあ、そこに座って待っててください」



有馬志筑くん。


和泉くんと同い年の高校2年生である彼は、「amber」の専属モデルであり、和泉くんの同期だ。


黒髪短髪の和泉くんとは違って、茶髪でゆるふわパーマな有馬くんは、和泉くんと並ぶくらいの人気を誇っている。


「コウは黒髪がよく似合うよね。俺似合わないから羨ましいよ」と和泉くんのマッシュに近い髪型を崩すかのようにぐしゃぐしゃにしながら、有馬くんが以前言ってたっけ。その後和泉くんにビンタ食らってたけども。



「あ、そうだ。この間さ、CM撮影の時に相手役の子が『和泉くんの連絡先教えてください』って言ってきたんだよね」


「あー……」


他の雑誌の男性モデルから、和泉くんの連絡先がティーン向け雑誌の専属モデルたちに広まって、和泉くんが嫌な思いをしたことがあるのだけれど。

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