俺の憧れの人ッ!~月詠隊竜胆来也~【KAC20252】

夢月みつき

「隊長、俺の憧れの人ッ!」

 俺は竜胆来也りんどうらいや、この世に「黄泉返よみがえり」した死者達をあの世に返す「月詠隊つくよみたい」に所属している。


 俺の憧れの人は誰というお題で、学校で宿題を出された。

 俺の憧れは、好きな人なら迷わず、幼なじみの叶蘭かのうらんを出すけれど、憧れと言ったら、やっぱ、月詠隊の隊長の佐渡さどまもる隊長だぜ!


 冷静沈着で頭の切れるクールな雰囲気が、冷たい印象を与えるかもしれない。

 でも、決して冷たくはないんだ。穏やかな心で俺達やクライアント(蘇った死者)にも接してくれる。


 冷静な分析力と熱いハートを持った男、それが佐渡隊長だ。

 佐渡隊長がパソコンでデータを打ち込みながら、蘭に今日の成果を聴いている。


「それで、今日の黄泉返りのクライアントはどうなっているかな?」


「はい、今日も順調です。私と来也で五十人のクライアントを返しました」


「あの一件から最近は、危険な黄泉返りもなくなったようだ。この調子で明日もよろしく頼む」


「はいっ」


「了解ですッ!」




 🔶





 俺達は一休みして昼飯にすることにした。思い思いに弁当などをテーブルに持ってきて三人で食う、このスタイルが俺達、月詠隊のコミュニケーションの一つでもある。


 今日の弁当は俺はあんパンと牛乳、蘭はおにぎり二個、佐渡隊長は、幕の内弁当だ。

 

 俺達は自分の弁当を食べようとした、その時だ。

 佐渡隊長が俺と蘭の弁当を見て、一言。「食べながら、少し待っていなさい」と一言言うとスマホを取り出してどこかに電話をしているようだ。


 思わず顔を見合わす、俺と蘭。しばらく俺達が弁当を食べていると……

 インターホンが鳴った。隊長は席を立つと二つ、紙袋を持って帰って来た。

 

 隊長は俺達の前に紙袋を置くと「それだけでは足りないだろう? ポテトとナゲットだ」と微笑みも忘れず、進めて来る。

 

 俺達はぱあっと顔を輝かせると、「ありがとうございます! いただきます」と有難くそれをもらった。



 しばらくして、呼び出しが掛かって佐渡隊長、俺と蘭は街に黄泉返りをした死者達をあの世に返すべく、戦いを始めた。

 今回は久しぶりに危険をはらんだ相手のようだ。

 

 丸くてモフモフ、つぶらな瞳、黄色いクチバシ、トリの降臨である。

 俺達はフォーメーションを取った、さぁ、月詠隊の戦いの始まりだ!



 おわり!


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

俺の憧れの人ッ!~月詠隊竜胆来也~【KAC20252】 夢月みつき @ca8000k

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ