第10話

10分ほどして、ご主人は、まだ微妙に赤い顔で帰ってきた。



「エロ本買うより恥ずかしいよ!マジで!」

って愚痴ってたけど、ちゃんと買ってきてくれるんだもんなぁ。

 優しいね、ご主人。ありがと。

 と、思い出したように、ご主人が言った。

「あ、シャワー入っていいよ。風呂入りたいしょ?俺レポートやってっから、ゆっくりどうぞ~。」



…シャワー!!



ヤバいです。非常にまずいぞ。人間は、ネコよりもたくさん、毎日のようにお風呂入るもんなんだもんね…

 でも、でも、僕、お風呂の入り方、知らないんです…



もう、ホント大騒ぎだった。

まず、いつもお風呂に入れてもらう時みたいにすればいいんだ!と思い至り、シャワーで全身を濡らそうとしたら、冷たくて冷たくて…もう一コの赤いマークの方を回してみたら、今度はあっつくて…なんとか、両方回して、調節できるって事に気付き、助かったけど。

それから、全身アワアワにすればいいんだから…と思ったけど、シャンプー、ボディーソープ、コンディショナーがあって、どれをどんな順番で使うのかがわからない。混ぜる…わけにはいかないよなぁ…

 結局、僕用(ネコ用)のやつを見たらシャンプーって書いてあったから、シャンプーを使って全身アワアワにした(あれ?でも、体はボディーソープを使うのか?)

とりあえずアワアワを流してから、体の水分をとろうと思ったんだけど、身震いしても水が全然飛ばないし、タオルはうまく使えないし…髪を乾かすドライヤーも、思ってた以上に音がうるさくて怖いし(普段からドライヤーは嫌いなんだ)、熱いしで、難しかった。

結局、二時間もかかったうえに、最後はご主人に頭を乾かしてもらってしまった…



今日は雲でお月さまが見えない。

はぁ、人間って、本当に色々大変だなぁ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る