第7話

「そういえば、名前なんていうの?」

ベッドの上でゴロゴロしながら漫画読んでたご主人が、顔も上げずに僕に聞いた。

「名前?名前は、えっと、大露 青、って言います。」

「おおつゆ あお?変わった名前だね。あお、って、普通に色の青って書くの?」

「うん」

「へー…」

 大王の『大』に、ロシアンブルーの『露』と『青』、だよ、ご主人。

 もうちょっと良い名前考えておけば良かった…かな。確かに変な名前だもん。

 一応これでも、ご主人を待ってる2時間の間に、散々考えたんだけど、、、

「俺は、水森 孝一。コーって呼んで。」

 知ってます☆…そっかぁ、これからは、『ご主人~!』って呼べないんだもんなぁ…てか、呼んだら明らかに怪しいコだよね。アキバ?てか、二次元(2.5次元)??メイド喫茶かよ!みたいな。

「コーね!わかった~。私のことは、青でいいよっ。」

「ん。じゃあ、青って呼ぶ。」

あ、ご主人、今ウソ笑いした。作り笑いっていうか…僕に普段笑いかけるのとは、やっぱ違うんだなぁ。

 てことは、やっぱり、僕は幸せ者なんだなあ。猫に戻りたくなってきた…猫に戻って、ご主人に、『ご主人~っ!!』って、いつもみたく抱きつくの♪

 この姿じゃ、できないもんなあ…



その夜、ご主人は、クマちゃんクッションを枕にして、床で寝た。

 僕は、一人で寝るには大きすぎる(ご主人なら一人でもちょうどいいんだけど…)ベッドで、一人で寝た。いつもご主人の枕元で、ご主人の髪の毛とか体温を感じながら寝てた僕は、ひんやりした布団も枕も、全部がちょっと寂しくって、ご主人がすっかり寝てしまってから、ひとりでメソメソ泣いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る