第44話

不意に真衣の笑顔を思い出した。

青木は、早く真衣の元へ帰り、真衣を抱きしめたいと思った。そしてそのまま、何事もなかったように、幸せな日々を送りたいと。

しかし、そのためにはやはり、キノコをどうにかしなくてはいけないのだ・・・

「また並び直さなくては」

青木は呟いた。

「何に?」

と聞こえる。

「わからない・・・」

そう言うしかなかった。

 説明しても理解を得られるとは思えないし、今の青木には、今までの経緯をうまく説明できる自信はなかった。第一、男達の聞きたいことというのは、青木の知るところではないように思えた。

 キノコについても、結局何もわかっていない。

あの協会についても何もわかっていない。

次は・・・これからは、どうしたら良いのか、また考え直さなくてはならなくなった。ふりだしに戻る、だ。

どうしたら・・・

考えようとするが、全く考えがまとまらない。

考えられない。

男達が何か言っているようだが、何を言っているのか、もうわからない。話している言葉が、まるで知らない音のように響く。

相変わらず金色の飾りは光を乱反射している。

その光のチラつきに、青木は苛立ちを覚えた。

気になって仕方がない。

目がチカチカして気持ちが悪い。

耳鳴りがする。

頭が痛い。

灰色の狭い部屋は、天井から壁から溶け初めてきている。


自分の順番はいつ来るのだろう・・・果たして来る日はあるのだろうか?青木は不安に思った。

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