第42話

青木の目の前に・・・いや、青木の額から、茶色いヘビが飛び出してきた。

そしてすごい勢いで、警備員の二人を喰い千切った。

真っ白な世界に、赤い花びらが飛び散った。

全てがスローモーションで見える。

青木は笑っていた。

何が可笑しいのか、自分でもわからない。

ただ、笑いが込み上げてくるのだ。


その時、不意に頭の中で声が響いた。


『・・・キノコに乗っ取られる・・・』


 「中島・・・」

青木は呟くと、空を見上げた。

 赤黒い空にあいた亀裂から、ぼんやりと光が射している。

 中島が遺書の中で、そして夢で、何を伝えたかったのか・・・

 青木はやっと気付いた。

「時、既に、遅し・・・だな。」

青木は呟くと、すっかり全て赤く染まった周囲を見渡した。



そこからは、よく覚えていない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る