第40話
しばらくして青木の元へ戻ってくると、
「買取の方からのご紹介の場合、チケットか認定証がないとお受けできません。」
と言い、青木にメモを返すと、軽く一礼をして去ろうとする。
何もわからないまま、追い返されては困る。青木は慌てた。キノコに関して知る、唯一の手がかりが、この協会なのだ。ここで何の情報も得られなければ、またふりだしに戻ることになる。それでは何のためにここまできたのかわからない。
青木は、去ろうとするその人の腕を掴んだ。
「すいません、このキノコについて詳しくお聞きしたくて・・・今日どうこうするのが無理でもいいんです、何か教えてもらえませんか?少しでもいいんです。」
ぜんまい人形のように、その人はゆっくりと、ぎこちなく振り返った。その瞳からは何の感情も感じられない。ひどく冷酷な表情だった。
「申し訳ございません、当会はそのようなご質問にはお答えできない仕組みになっておりまして・・・ご了承ください。」
青木がほんの少し力を抜いたその間に、その人はするりと腕を抜き、青木に背を向けた。
「そんな・・・!遠いところから、はるばる出てきたんです!
この協会についても、何もわからなくて・・・チケットって何ですか?このキノコは一体何なんですか?それがわからないままに、このまま帰るなんてできないんです!お願いです、何でもいいんです、少しでも・・・教えてください!」
「規則ですから。」
取り乱す青木に、受付にいた他の人が、機械的に告げる。
「そんな・・・」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます