第38話

協会のあるという住所へと近づいてきた。それは、すぐにわかった。かなりの人数がその方向へと集まってきている。皆、一様に帽子をかぶり、下を向いて歩いている。その流れについて行くと、人だかりが見えた。

『あなたがたはまだ助かります。キノコに怯えることはありません。需要と供給、私たちはそのバランスを保ち平和を目指します』

と書いてある。

 嫌味なほど端正に書かれたその字は、冷たい印象を与えた。


人々の会話に耳をすますと、協会という言葉がちらほらと聞こえてくるのだが、皆囁くように密かに話すので、何と言っているのか内容までは聞き取れなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る