第27話
その日を境に、青木の家であったり真衣の家であったりしたが、二人は毎日夕食をともにした。
たまに青木が作ることもあったが、日頃まともに料理などしたことがなかったため、燦々たるものであった。見るからに不味そうな料理たちは、見た目以上にひどい味だった。しかし真衣は、慣れれば上手くなるわ、と言いながら食べてくれるのだった。
青木は学校へも戻り、仲間と遊んだり、真衣と二人きりで出掛けたりもし、以前と変わらない生活に戻った。
変わったことといえば、真衣との関係のみだ。
周囲も青木が元通り元気を取り戻したことに安心し、そして真衣との事を、まるで自分のことであるかのように喜んでくれた。どうやら、あの事件以来ずっと、グループ全員で真衣の恋愛相談に乗っていたらしい。
色恋については殊のほか鈍感な青木は全く気付いていなかったのだが・・・
ともあれ二人は、公認の仲になり、同様にグループ内で交際している二人と一緒に、4人で遊びに行くことも増えた。
そのような変化に伴って、青木の額に生えたキノコは次第に小さくなってゆき、消えてしまった。実際に消えたかどうかは定かではなかったが、少なくとも、青木の目には、もう何も映らなかった。
そして徐々にキノコのことを思い出すこともなくなり、また、絶対に忘れることなどないと思っていた、かけがえのない友人の死を思い返すこともなくなっていったのだった・・・
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