第14話

優美から、遺書と言うにはひどく貧相なその一枚の紙切れを受け取る。それには、乱雑な文字でこう書かれていた。

『青木

キノコは菌類だ

順番が来ない

チケットが必要だ

俺はもう待てない

キノコが

残りはあのボロ家にある

お前にやる

協会の連絡先は・・・』

以下、東京の八王子市の住所が書かれている。



恐らく、他の人には何のことだか、この文章を読んだだけでは全くわからないだろう。

だが、青木にはわかった。

中島はあのキノコが原因で自殺したのだろう。あの額のキノコには何かあるらしい。それが何かはわからないが、恐らく、あのキノコが額に生えることによって、何らかの精神的あるいは身体的苦痛が伴う。

ただ、その『協会』に行けば、前に中島が言っていたように、何か特殊な方法でキノコを取り除いてくれるのだろう。そしてそれにはチケットが必要だ。予約のようなものだろうか・・・『もう待てない』ということは、あの後1ヶ月以上経過した今でも、中島はまだチケットとやらを入手できずにいた、ということになる。

以前に申請だの手続きだのと言っていたことを思い出す。

それにしても、中島の自殺の原因がキノコであるとすれば、初めの女も、その次の子供も、キノコが原因で自殺したのだろうということがわかる。


『なんてキノコだ・・・現代に潜む闇の落とし穴、ってトコか?芳しい匂いと至上の味わい・・・それで誘い込み、人に寄生する。コイツはまるで悪魔だ・・・』

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