第5話

中島も同意したことで、二人はそのキノコを食べてみる事にした。少し不気味さはあったものの、それが逆に二人にはスリリングで、興味を引く要因となっていた。

 二人は、いわゆる、『悪友』的な仲であった。勿論、親友と呼ぶのに相応しい相手でもあったが、それ以上に二人を結び付けているのは、いつもスリルと愉しみであった。

 親元にいながら、料理上手な中島は、キノコを手早く調理した。味付けは、ビールに合うように濃いめにしてあり、余っていた豚肉も、一センチメートル幅位に切って、一緒に炒めてあった。

 二人はビールの缶を片手に持ち、乾杯すると、恐る恐るキノコを口に運んだ・・・


 ・・・その味には、二人とも驚嘆した。


 「・・・旨い!」

「・・・ああ、こんな旨いモンがあったのかってくらいだ・・・」

「ああ。まさか、死体から採れた怪しいキノコが、ここまで旨いとはなぁ・・・」

「まさに『棚からぼたもち』ってヤツだな。」

「はは、『死体からキノコ』ってか?」

「オマエ、それじゃあそのまんまだろーが。」

本当に、あっという間に皿は空になった。

 

プリプリとした食感に、まろやかな味わい、そしてほのかに香る上品な匂い・・・今まで食べたことのないような、この世のどんな高級料理にも劣らないようなものだった。

「もうちょっと食いたかったな。」

物欲しげに皿を箸でつつきながら中島が言った。

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