第4話
家に帰り、冷蔵庫を開ける。錯乱状態のひどかった数名は、とりあえず病院で落ち着くまで保護された。中島と二人、真衣を家まで送りとどけ、どこへ行くという気分にもなれなかった為、まっすぐ帰宅したのだ。
大学生、一人暮らしの青木の冷蔵庫には、ビールと、昨日豚丼のタレとともに購入した、豚の薄切りくらいしか入っていなかった。二日連続豚丼・・・というのも辛い。しかも米は昨日使い切ってしまっていた。
・・・と、不意に死体に生えていたキノコをポケットに持ち帰ってきたことを思い出した。
面白いものがある、と中島の自宅に連絡し呼び出した。中島は五分程でやってきた。
「面白いものって、何だ?」
興味津々な目つきで中島はニヤけた。
「これさ。」
ポケットから、例のキノコを取り出して見せると、中島も青木と同様、うまそうなキノコだな、と言った。
「何てキノコだ?・・・ずいぶんでかいけど。」
中島は、キノコ・・・いや、キノコだけではないが、食材について割と詳しい。
「知らないよ。さっきの死体に生えてたんだ。」
「死体に?」
「そうだよ。気付かなかったか?」
「・・・ああ、俺は、なんだか知らないが歩美に手を引っ張られて外に連れ出されちまったから、ロクに死体は見ていないんだ。アイツ、すっげー泣いてたから、手をふりほどくわけにも行かなくてさ。」
中島は少し照れ笑いを浮かべながら苦笑した。青木は、その様子から、中島は歩美の事が好きなのだと、推測した。
「どうする、食うか?」
青木は、探るように中島の目を見た。
「当然だろ?」
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